海外の代替肉として注目される「セイタン」とは?実はあの日本食材が由来
突然ですがみなさんは「セイタン」をご存知でしょうか。ヴィーガンが増えているヨーロッパを中心に、圧倒的な人気を誇るセイタン。日本ではあまり知られていませんが、セイタンは100%植物性由来でできており、いろいろな料理にアレンジできるため、海外のヴィーガンからはとても人気が高いのです。今日は欧米で大流行しているセイタンについて詳しく紹介します。
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実はセイタンは「麩」
セイタンの正体はズバリ「麩(ふ)」です。日本ではすき焼きに入れたり味噌汁の具材にしたりとお馴染みの食材です。
そもそも麩が作られる工程は、小麦粉に含まれるでんぷん質を除去し、残ったたんぱく質とグルテンを形成したものです。そして、それにお米などを加え、蒸して作られたのを「生麩」といいます。
生麩は、そのままお醤油をたらして刺身のように食べることができます。それだけでもお魚の代わりになり、ヴィーガンにとっては便利です。セイタンはつまり日本の生麩をアレンジして、いろいろな料理に活用されています。
代替肉としてヴィーガンに人気のセイタン
セイタンはイタリアやフランスを始めとしたヨーロッパで特に人気です 。例えばフランスの一流料理店では、セイタンを使ってオリーブオイルなどの調理料を混ぜて作ったセイタンのカルパッチョが看板メニューになっています。また厚めにカットしたセイタンにパン粉をまぶして揚げれば、ボリュームたっぷりのカツレツが完成します。
このほかにもセイタンをそのまま焼き上げたセイタンの串焼きや、ラザニアなどがあります。イタリアでは特にセイタンは肉の代わりに使われており、本物の肉に比べ脂質が少なくタンパク質が多いことから、健康メニューとして親しまれています
きっかけはあのジョージ・オーサワ
生誕が海外で知られたのは、マクロビオティックの提唱者である桜沢如一氏がきっかけです。彼の名前は海外ではジョージ・オーサワとして知られており、健康かつ正しいタンパク質を取る方法として、麩を紹介したのがきっかけといわれています。彼は1960年代に健康的な食事療法としてマクロビオティックを広め、それと同時にセイタンの認知度も上がりました。
セイタンの名前由来も驚き
しかしセイタンがそもそも麩であり、広めたのも日本人であるのなら、その名前は「FU」と表記されても良さそうです。なぜ日本人に馴染みのない「セイタン」という名がつけられたのでしょうか。
実はセイタンの名前の由来は「正しいタンパク質」から。「正(セイ)」とタンパク質の「タン」から2文字ずつとって、セイタンという名が付いたのです。これを命名したのも、ジョージ・オーサワです。結果的に「FU」よりも海外の人にとっては「seitan」のほうが発音しやすいため、この名称が広まったのでしょう。
なぜ欧米で大人気なのか
日本ではあまり馴染みのないセイタンですが、欧米のスーパーではセイタンが当たり前のように売られています。ここからは、なぜ海外でセイタンが流行しているのか、その理由を見ていきましょう。
代替品として美味しいから
セイタンが欧米で大流行しているのは「肉の代わりとして食べても美味しい」からです。
例えばイタリアは美食家の国として知られており、美味しいものを食べるのが文化になっています。ダイエットや環境のために肉を抜くのは良いが、大豆の香りがする大豆ミートを食べるのは、抵抗を感じる人が多いとか。
しかしセイタンは代替肉のみならず、小麦粉のようにしてピザ生地の代用ができたり、魚の代わりにムニエルにしたり、いろいろな料理にアレンジできます。そのうえ大豆のような臭いやクセもないため、美食家の国イタリアでも受け入れられたのです。セイタンなら美味しいうえに健康に良い、これが海外で流行った大きな理由です。
低脂肪、低コレステロール、低糖質でダイエット効果が高い
セイタンはダイエット効果が高いです。それは「低脂肪、低コレステロール、低糖質」というセイタン独自が持つ栄養素のおかげです。
そもそもセイタンはグルテンを原料とした加工食品です。グルテンと言えばパンやパスタなどカロリーの高いものに含まれているイメージがありますが、セイタンはグルテンそのものを小麦などから取り出しているので、余計な脂質や糖質は一切含まれていません。
セイタンはグルテンの持つモチモチとした食感が楽しめるうえ、低脂肪、低コレステロール、低糖質というメリットがあります。日本よりも生活習慣病に悩む人が多い欧米では、セイタンは美味しいうえにたくさん食べられる食材として人気があります。
アレンジレシピが豊富にある
セイタンは実にいろいろな料理にアレンジすることができます。例えば大豆ミートの場合は唐揚げなどにして肉の代用として使うのが一般的ですが、セイタンの場合は肉の代用だけにとどまりません。
セイタンで作ることができるレシピの一例
- カツレツ
- 魚代わりのムニエル
- ピザ生地
- プリンのようなデザートにも
イギリスの有名なシェフは、セイタンからスペアリブを作ることに成功しています。このように作りたい料理の多くを代用できることもあり、セイタンは海外で人気になっています。
セイタンは日本でも購入、手作りできる
このようにいろいろなメリットのあるセイタンは、日本でも購入することが可能です。日本の場合「セイタン」で売られているものもありますが、日本独自で作られているものは少なく、海外メーカーの商品を輸入していることが多いです。
https://item.rakuten.co.jp/shizenkan/6111/
国産メーカーがてがけるセイタンを希望なら、「生麩(なまふ)」を検索して購入しても良いでしょう。また、日本では馴染みの少ないセイタンは、「グルテンミート」で検索してもヒットします。
https://item.rakuten.co.jp/uzumasa/mu21501/?
小麦粉で作る 簡単セイタン
セイタンは手作りすることもできます。薄力粉と強力粉をよくこねてグルテンを引き出すことにより、弾力のあるモチモチしたセイタンを楽しむことができますよ。
材料
- 薄力粉 500g
- 強力粉 500g
- 水 700㏄
- 塩 大さじ1
作り方
- ボウルにすべての材料を入れ、生地をテーブルに取り出し、こねてひとまとめにし、ラップをして3時間ほど放置する。
- 再びボウルに生地を入れ、水が透明になるまでもみ洗い、絞り洗いを10分ほど繰り返す。
- 水分をよく絞り、適当な大きさに分ける。出来上がりは、400g程度になる。この時に白玉を混ぜると生麩になり、それを焼くと焼き麩になる。
- 鍋に水を入れ沸騰させ、茹でて完成。
できあがったセイタンは、カツレツやフライにアレンジしたり、中華の炒め物や肉じゃが、カレーなどに応用できます。
またセイタンをパラパラにしてミンチにすることにより、ハンバーグやコロッケ、肉そぼろ、餃子や春巻きの具などにも使えます。
まとめ
日本が生み出した健康食品の「麩」は、形を変えてセイタンという名前で世界中に知られています。セイタンは肉の代わりに使うのはもちろん、ピザやパンの代わりとして主食メニューにも使われています。それによりダイエットや健康に役立てている外国人は多いのです。
日本ではあまり馴染みのないセイタン。それが逆輸入という形で流行る日も、いずれ近いかもしれません。
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