ヴィーガンは病気を予防できる?指標を表すデザイナーフーズとは
日本人の死因第一位であるガン。それを予防するために様々な研究が行われていますが、私たちが最も身近にできる対策として食生活があります。
一般的にガンをはじめとした病気になりやすい食事とは、外食ばかりの脂っこい食事や、塩分や糖分過多、好きなものばかり食べる偏食などがあるでしょう。 しかし、反対にこうした食事を回避して健康的な食材を中心に取っていけば、ガンになりにくいといわれています。その指標を表したものがデザイナーフーズです。今日はこのデザイナーフーズについて詳しく紹介したうえで、ヴィーガンとの関係についても見ていきましょう。
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ガンを抑制できる食べ物が注目されている
ガンに関しては日本でも様々な研究が行われていますが、いち早くガン研究が進んでいたのがアメリカです。アメリカは1970年代からガンの死亡率が増加しており、その原因の一つとして食生活が挙げられていました。
そして1980年にはアメリカ国立ガン研究所が「野菜や果物を中心とした食事はガン予防に効果がある」と発表したのです。
ヴィーガンはガンになりにくい!?
野菜や果物を中心とした食生活はガン予防に効果があるとされ、菜食主義に注目が集まりました。米国栄養学会誌の調査報告によると、菜食主義者のガンによる死亡率は、一般の食事をしている人よりも50%低いという結果も出ています。
これは野菜や果物を積極的に摂ることで、ガンの発生を抑えているとも言えます。それと同時に、ガンの発症源となるベーコンやハムといった加工肉を取らないことも、ガンの発生を抑える要因になるといわれています。
ガンと食肉との深い関係
2015年にWHO国際ガン研究機関は「加工肉を1日50g 摂取すると大腸ガンの発症が18%アップする」という衝撃的な研究結果を発表しました。
特にハムやソーセージ、ベーコンといった加工肉は、タバコやアスベストと同じくらい強い発ガン性を示すものに分類されたのです。また牛肉や豚肉に関しても、食肉発色剤の亜硝酸塩によって、食べ続けることによりガンの発症率が上がることが分かっています。肉を食べることで100%ガンになるとはいわないものの、毎日たくさんの肉を食べることは、ガンの発症リスクを上げることにつながっているのです。
デザイナーフーズとは
食卓に肉が上がることが当たり前のアメリカでは、これ以上ガン患者を増やさないようガンを防ぐ食材について研究が続けられました。
そうして90年に発表されたのが「デザイナーフーズ計画」です。デザイナーフーズ計画には、ガン予防に効果があるとされる約40種類の食品がピラミッド順に並べています。具体的にどのような食材をどの程度食べればいいのか、早速見ていきましょう
デザイナーズフーズ一覧
以下はデザイナーフーズを重要度別に並べたものです。
重要度 高 | にんにく、キャベツ、大豆、生姜、(人参、セロリ、パースニップ)などのセリ科の植物 |
中 | 玉ねぎ、ウコン、ターメリック、玄米、柑橘類のフルーツ、ナス科植物、ブロッコリーやカリフラワーなどアブラナ科の植物 |
低 | マスクメロン、バジル、オレガノ、きゅうり、ローズマリー、じゃがいも、セージ、大麦、ベリーなど |
重要度別にならべてはあるものの、専門家は「重要度に関係なく、これらの食材をバランスよく食べることが大切」と述べています。
野菜や果物、大豆類を中心としたデザイナーフーズは、ヴィーガンが日常的に食べているものばかりです。これらの食材をしっかりと摂ることができるヴィーガンは、ガンの発生を抑えることに期待ができるといえます。
ファイトケミカルが重要な役割をしている
デザイナーフーズに表示されたこれらの食品がなぜガンを抑制できるのか。 それにはファイトケミカルと呼ばれる植物性成分が大きく関わっています。
ファイトケミカルは主に野菜や果物、穀類などに含まれています。そしてファイトケミカルは遺伝子を傷つける活性酸素への抗酸化作用があることが分かっており、ガン予防効果があるのです。ちなみにファイトケミカルは、ぶどうなどに含まれるポリフェノール、大豆に含まれているイソフラボン、緑黄色野菜に含まれるカロテノイドなどに多く含まれています。
各食材ごとに見たガン予防の具体例
デザイナーフーズにある食材は、食べ続けることで以下のような効果が実証されています。
にんにく…胃ガンの発症率を抑える。実際ににんにくを日常的に食べているイタリアでは胃ガンの発症率が低い
ニンジンやセロリなどのセリ植物…大腸ガン、食道ガン、肝臓ガン、前立腺ガンなど、多種多様なガンを予防できる。
大豆…イソフラボンは女性ホルモンに影響を与え、乳癌の予防効果がある。男性に対しても前立腺ガンの予防効果が期待されている
またデザイナーフーズはガンを予防するだけでなく、体の免疫力やウイルス感染を防ぎ、生活習慣病を予防できる働きも持っています。
日本ではリンゴにも注目
そしてアメリカが発表したデザイナーフーズ表には載っていないものの、日本ではりんごを食べることがガンの抑制に繋がると注目されています。
三重大学医学部が日本癌学会で発表した報告によると、りんごポリフェノールの発ガン予防効果が、マウスによる動物実験で立証されました。りんごポリフェノールに含まれるプロシアニジンという細胞が、ガン細胞の自殺を誘導するということがわかったのです。
ちなみにりんごポリフェノールは皮に多く含まれています。食べる際はりんごをよく洗い、皮を剥かずにそのまま食べると良いでしょう。
1日5皿分以上の野菜と、200gの果物を
デザイナーフーズ計画では、表示された食品を中心に「1日5皿分以上の野菜と、200gの果物を食べよう」ということが推奨されています。
5皿以上の野菜を摂ろうという考えから「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)運動」とも呼ばれており、この考えは日本でも推奨されています。ちなみに5皿以上の野菜とは、具体的にいうと1日に350g以上の野菜を摂るということ。やや難しそうに見えますが、それは次のような献立を食事に展開すれば、デザイナーズフーズが目標とする食材を効率よく摂取することができます。
5 A DAY 具体的な献立例
デザイナーフーズが推奨する、1日に350g以上の野菜と200gの果物。それを摂取できる例として、次のような献立があります。
朝食 |
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昼食 |
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夕食 |
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350g以上の野菜は、5皿分以上の野菜です。大皿に盛った野菜は2皿分に換算し、小鉢は1つ分だと考えましょう。そうするとメインのおかずを煮物や野菜スープにすることで、理想的な野菜の量をしっかりと摂ることができます。
また、果物200gの一例は
- イチゴ 8粒くらい
- みかん 2個
- リンゴ 1個
- グレープフルーツ 2分の1個
となっています。朝とお昼に意識して果物を食べれば、理想的な量を摂取できるでしょう。
まとめ デザイナーフーズを意識した食事を摂ろう
アメリカではデザイナーフーズ計画が提唱され、多くの人が1日に350g以上の野菜と200gの果物を食べるようになってから、ガンによる死亡率が減少しました。
350g以上の野菜と200gの果物を食べるということは、メイン料理をほとんど野菜中心にするということ。つまり、ヴィーガンを実践することは、デザイナーフーズて提唱された食材をしっかり食べることにもなります。健康づくりのためには、毎日食べる食事が大切です。まずはデザイナーフーズで紹介された食材を確認し、積極的に日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。