ヴィーガンは筋肉がつきにくい?筋肉のつけ方と実践すべき筋トレを紹介

動物性たんぱく質を摂ることができないヴィーガンは、昔からタンパク質が不足するとか、筋肉がつきにくいなどと言われてきました。しかしヴィーガンを実践する人のなかには現役のアスリートであることも多く、ヴィーガンだからといって筋肉がつかないというのは間違っているようです。今回はヴィーガンと筋肉の関係や、体に効率よく筋肉をつける方法などを見ていきましょう。
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ヴィーガンでもしっかりと筋肉は付く
筋肉と食べ物の関係は、昔から盛んに議論が行われてきました 。筋肉隆々の体の人は、肉をたくさん食べるというイメージがあるでしょう。しかし最新の研究結果によると、必ずしも肉食が筋肉を作るわけではない、というのが分かっています。植物性食品しか食べないヴィーガンでも、しっかりと筋肉をつけることができるのです。
大切なのは肉ではなくタンパク質
昔から体の筋肉量を増やすのはタンパク質が重要だといわれています。しかも、欧米の新たな研究結果によると、そのタンパク質は植物性のでも動物性のタンパク質でも効果が変わらないことが分かりました。実証実験において動物性タンパク質をたくさん食べたボディビルダーと、植物性タンパク質をたくさん食べたボディビルダーを比較したところ、その筋肉の質や量はほぼ同じことであることが分かりました。つまり筋肉量を増やすためには、肉食が重要というのではなく、タンパク質をしっかりと摂取するが重要だったのです。
アミノ酸スコアが高い食材を摂ろう
タンパク質の栄養価を表すものとして「アミノ酸スコア」があります。アミノ酸は必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分かれており、体内で生成できない9種類の必須アミノ酸をしっかりと摂った方が、筋肉をしっかりと体につけることができます。
アミノ酸スコアは食品に含まれている必須アミノ酸がどれくらいあるかにより算出され、100に近い数値の食品ほど理想的です。
アミノ酸スコア | 食材 |
ほぼ100に近いもの | 大豆、アジ、卵、牛乳、豚ロースなど |
50~90 | 精白米、ブロッコリー、ニラ、玄米など |
50以下 | リンゴ、ナッツ類など |
こう見ると、アミノ酸スコアが100点のものは大豆があるものの、それ以外は豚ロースやアジなど、動物性食品が中心であることが分かります。筋肉をつけるには動物性食品を食べた方が効果的ともいえますが、そこには意外な落とし穴があります。
ちなみに、ヴィーガンと必須アミノ酸の関係についてはこちらの記事に詳しくまとめてあります!
肉を食べないことで体脂肪が減る
筋肉をつけるために肉や魚を食べることは、しっかりとアミノ酸を摂ることもできるため正しいようにも見えます。しかし、特に肉に関しては、アミノ酸やタンパク質の他に過度な脂質があることを忘れてはいけません。肉を含む食事は、タンパク質を摂りつつも、体重と体脂肪を増やすことにもなるのです。
筋肉をつけたい人の多くは、脂質のない引き締まった体を望むでしょう。そうした場合、動物性食品から必須アミノ酸をとるのではなく、植物性食品からアミノ酸を摂るヴィーガンを実践したほうが効果的といえます。
ただ、プロレスラーのような筋肉と脂質があるガッチリとした体を望むのであれば、肉や魚を食べた方が体脂肪も増えるので、肉食のほうが成果はでるでしょう。
筋肉を増やしてくれる植物性食品
紹介しているように、体へ効果的に筋肉をつけるには、必須アミノ酸を含んだタンパク質をしっかりと摂ることが大切です。その栄養を含む植物性食品は主に次のようになります。
- 大豆食品
- ナッツ類
- 蕎麦粉
- 米
- パン
中でも大豆は植物性タンパク質の中でアミノ酸スコアが唯一満点の食材です。ご飯を食べる時は納豆をかけたり、食材に豆がない時は豆乳を取ったりと、日々の生活において意識して大豆を摂るだけでも、筋肉をサポートすることができます。
また、ナッツ類にも良質で豊富な必須アミノ酸が含まれています。そして米やパンといった主食にも糖質だけでなく必須アミノ酸が含まれているので、筋肉をつけたい場合は積極的に食べるようにしましょう。
ヴィーガンを実践しているアスリートは多い
ヴィーガンでも筋肉を体にしっかりとつけることはできる、それを証明しているものとしてプロのアスリートたちがいます。以下はその一例です。
カール・ルイス | オリンピック陸上競技3大会連続金メダリスト |
マレー・ローズ | オリンピック水泳4つの金メダリスト |
アベベ・ビキラ | オリンピックマラソン2大会連続金メダル |
ナブラチロワ | 元世界女王テニスプレイヤー |
ティモシー・ブラドリー | ボクシング元世界王者 |
プロのアスリートは、当然ながら一般人よりも多くの筋肉を体に蓄える必要があります。ヴィーガンは玄米や大豆を中心にタンパク質が多く摂れるほか、動物性脂質を摂らないことにより余分な脂質が体に付きにくくなるのです。またヴィーガン食は血圧やコレステロール値が安定するため、アスリートにとっては体内で炎症が起こりにくくなり、ケガをしても自然治癒力が高まるといったメリットがあります。
もちろん、プロのアスリートはタンパク質のほかにも鉄分やビタミンB群、カルシウムなどを意識して摂る必要があります。これらを亜麻仁油やサプリメントからうまく摂ることにより、アスリートとしての身体を維持できるのです。
ヴィーガンと筋トレの関係
体に筋肉をつけるには、アミノ酸スコアの高いタンパク質をとることも大切ですが、同時に筋トレをすることも重要です。
筋トレは数が多すぎて何から始めて良いか分からない人もいるでしょう。ここでは、筋トレを全く行ったことがない初心者でも実践できる、基本的な筋トレを3つ紹介します。
基本のスクワットから始めよう
スクワットは筋トレの王様といわれる運動です。そもそも人の筋肉は下半身全体に集中しているため、まずはスクワットで下半身全体のシェイプアップをはかりましょう。
- 肩幅くらいに脚を開きます。
- そのままゆっくりと腰を深く落としていきます。太ももと床が平行になるくらいまで落とすのが目安です。
- 腰を落としきったら、ゆっくりと持ち上げていきます。
- 可能なら10回ほど続けて終了
腰を落とすときも、上げるときも、無理なくゆっくり動くのがポイントです。膝を傷めないよう、曲げるときは膝が足の先より出ないよう注意しましょう。
ひざ付き腕立て伏せ
腕立て伏せはハードな筋トレのため、なかなか続かないのが現状です。そこでおススメなのが膝を立てた状態で行う腕立て伏せです。負担をかるくしつつ大胸筋を鍛えることができるので、女性や高齢者の方にもピッタリです。
- 膝と手で体を支える体勢を作ります
- うで立て伏せの体勢をとり、膝を立てるとちょうど良い体勢になります。
- 肘をゆっくりと曲げながら体を落としていきます。
- 地面を押すイメージでゆっくり体を持ち上げます。
- 10回ほど繰り返して終了
可能なら、これを1日3回ほど行いましょう。一般的な腕立てよりも負荷がないため、思いついたときに気軽に実践できます。
ヒップリフト
ヒップリフトは寝ながらできる筋トレです。女性のヒップアップトレーニングとして取り入れられることが多いですが、下半身全体の筋肉をしっかりと鍛えることができます。
- 仰向けで寝る
- 足を90度曲げて立てる
- 手を軽く開いて安定させる
- お尻をゆっくりとあげる
- 肩から膝まで一直線になった位置で停止する
- ゆっくりと下げ、これを10回ほど繰り返す
まとめ ヴィーガンでもしっかり筋肉はつく
大豆をはじめとしたタンパク質をしっかり摂れば、ヴィーガンでも筋肉をつけることができます。むしろ成績が伸びないプロのアスリートなどはヴィーガンを取り入れ、体脂肪を減らして筋肉をつけることにより成績をあげているケースも多いのです。筋肉をつけたい人はぜひアミノ酸スコアの高い植物性食品を意識して摂り、筋トレを実践しながら体づくりを行っていきましょう。