グルテンは悪者?マクロビオティックとグルテンフリー
最近よく「グルテンフリー」という言葉を聞くようになりました。
健康に良い、ダイエット効果があるなど様々な情報がありますが、実はマクロビオティックでは元々グルテンを奨励していたのです。
マクロビオティックとグルテン・グルテンフリーの関係について解説します。
Contents
「グルテン」とは何?身体に良くないの?
まずは、グルテンについて簡単に説明しましょう。
グルテンは小麦粉のタンパク成分
グルテンは、小麦粉の成分である糖タンパクのグリアジンとグルテニンが結合したものです。それぞれアミノ酸が100個前後結合したもので、この2つと水が合わさることで弾力と粘着力をもった「グルテン」になります。
この性質がパンやパスタ、うどん、お菓子などのモチモチフワフワな食感を出すためにとても大切なのです。
グルテンが健康に良くないといわれる理由
欧米でも日本でも古くから小麦粉は料理に使われており、成分に問題があるとは考えられていませんでした。
ところが、グルテンに中毒反応を起こす「セリアック病」が発見されてから特に米国でグルテンフリーが盛んになったのです。
その他にも小麦アレルギーやグルテン不耐症、過敏性腸症候群の場合もあります。
セリアック病とは
通常、グルテンが体内に入ると、アミノ酸レベルに分解されてから吸収します。ところが中にはこの働きが弱い人がおり、アミノ酸が数十個集まったペプチドの状態のままになってしまいます。ほとんどの場合ペプチドは排出されるのですが、排出されないま変形して抗体となり、小腸粘膜を攻撃してしまうことがあります。これがセリアック病と呼ばれる自己免疫疾患で、慢性的な下痢や便秘、倦怠感、頭痛などが起こります。日本でも約1%の人が罹っているといわれています。
一度グルテンに反応すると、一生グルテン抜きの生活を送らなくてはいけません。
小麦アレルギーとは
小麦に含まれるタンパク質のどれかに反応するアレルギーです。セリアック病の原因となるグリアジンやグルテニン以外のタンパク質、アルブミンやグロブリンなどに反応してしまうのです。セリアック病が小腸に異常が起こるのに対し、小麦アレルギーは消化器系に起こりやすいといわれています。
小麦アレルギーで有名なのが10年ほど前、加水分解コムギを配合した石けんで、アレルギーやアナフィラキシーショックを引き起こしたケースもあります。
グルテン不耐症とは
セリアック病や小麦アレルギーほど強い反応ではないものの、胃もたれや疲労感、便秘、下痢、頭痛などの不快な症状が起こります。
遅延型のアレルギーで人によっては数日後反応が出ることもあり、小麦が原因だと気づかない人がほとんどだといわれています。しかし、実際にはセリアック病患者の6倍以上いると推測されています。
原因は、グルテンの完全な消化に必要なプロテアーゼやエンドペプチターゼといった酵素を持っていない体質や、ストレスなどだと考えられています。
マクロビオティックのグルテンに対する考え方
最近のマクロビオティックではグルテンフリー食品も扱うようになっていますが、以前はむしろグルテンを積極的に摂取していました。
グルテンの塊!セイタンとコーフー、お麩
マクロビオティックには「セイタン」と「コーフー」という、日本発祥のグルテンを使った食材があります。
セイタンは海外ではグルテンミートと呼ばれ、小麦粉に水をどんどん混ぜ、最後に残ったゴム状のもの(グルテン)を醤油などで味付けしたものです。自宅でも作れるもののかなり水を使うので、普通はすでにできているものを購入するか、グルテン粉を買って作ります。日本よりイタリアなどで人気で、菜食料理には欠かせないものです。
コーフーはグルテン粉、小麦粉、塩を水で溶いたものを2時間ほど蒸したもので、セイタンより柔らかい仕上がりになります。
また、お麩も小麦グルテンから作られているので、煮つけにしたり、戻してから出汁に浸し、揚げたりしました。
どれも植物性タンパク質として特に初期はよく使われていました。グルテン粉は主に日本の無農薬・有機小麦粉(中力粉)から作られたもので、安全性も高い貴重なタンパク質源だったのです。
現在は、植物性タンパク質としては主に大豆を加工した「ソイミート」が使用されています。しかし大豆は小麦より陰性なので、厳格なマクロビアンは今でもソイミートではなくセイタンやコーフー、お麩を使用しています。
現在のマクロビでグルテンをあまり推さない理由
以前はマクロビショップではあまり販売されていなかったソイミートですが、今やセイタンやグルテン粉よりメインとなっています。
これは、世間一般で騒がれているグルテンの危険性を考慮したことが大きいでしょう。また、生まれつきグルテンが体質に合わない場合もあります。さらに、マクロビを始める前に海外から輸入された小麦粉でアレルギーを起こしてしまうと、国産の中力粉でも反応が出てしまう危険性があるのです。
グルテンフリーにも危険性はあります
グルテンがアレルギーを引き起こす危険があることは事実です。しかし、グルテンフリーであれば安心かといえば、そうとも言えないのです。
米粉なら安全?そうとは限りません
日本では、グルテンフリーというとほとんどの場合小麦粉を使用していない、という意味で、小麦粉の代わりに米粉を使用しているものがあります。しかし、最近はお米にアレルギー反応を起こす人が増えています。しかも子供だけでなく、成人してから突然発症するケースが多くなっているのです。
問題はグルテンではなく農薬という説がある
グルテンが含まれていても、国産の地粉を使った食材ならアレルギーが起こらない、という人は少なくありません。その原因として挙げられるのが、海外から輸入された小麦粉のポストハーベストです。日本に輸入される小麦粉の約50%がアメリカで、生育中にたっぷり農薬を使用している上に、輸入時にも防腐剤をかけているのです。
また、日本でわずかながら作られている国産小麦とアメリカなどの小麦を比較すると遺伝子構造がかなり違い、それもアレルギーの一因ではないか、と言われています。
グルテンフリーでも砂糖や添加物が使われているものが多い
自然食品店で販売されているものでも、グルテンフリーのパンやお菓子の成分を見るとよく「きび砂糖」が使われています。きび砂糖はさとうきびから採れたもので、白砂糖に比べるとミネラルが多く含まれるものの、南国で採れたものなので身体を冷やす作用が強くなります。
虚弱体質、冷え性、生理痛がひどい、胃腸が弱いといった人は注意が必要です。
また、小麦粉の特性を出すために、増粘剤など化学物質が使われているものも少なくありません。よく添加されるキサンタンガムは遺伝子組み換えのトウモロコシから作られており、カラギーナンは発がん性が指摘されています。
コンビニなどで販売されている手頃な価格のものほど多く含まれているので、購入の際は必ずチェックしましょう。
まとめ
マクロビオティックでは国産の小麦を使用するためか、グルテンアレルギーを発症する人はあまりおらず、むしろアレルギー反応が出なくなったというケースのほうが多いです。とはいうものの、それが誰にでも当てはまるとは限りません。
1~2週間程度小麦粉を使った料理を一切止め、自分の身体がどう変化するかチェックしてみてはいかがでしょうか。