ヴィーガンは糖尿病になりにくい 改善にも役立つヴィーガン食とは
欧米化の食生活が進み、もはや日本人の国民病ともいわれるようになった糖尿病。糖尿病は慢性疾患の1つなので、一度罹患してしまうと、生涯に渡って治療と自己管理が必要になります。
しかし、そんな糖尿病に対し、ヴィーガンの食生活は有効だといわれています。また、ヴィーガンの人は糖尿病になりにくいともいわれているため、健康的な生活を送りたい人にもヴィーガンを実践することはおすすめです。今日はヴィーガンと糖尿病との関係について詳しく見ていきましょう。
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そもそも糖尿病とは
糖尿病は、簡単にいうと血液中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気です。通常、私たちの体は血液を流れる血糖を通常の範囲におさめるため、膵臓から出るインスリンが血糖値を抑えてくれます。
しかし、インスリンの働きが悪くなってしまうと、血糖が細胞内に吸収されず、血液のなかにあふれてしまいます。これが続くことにより、感染症や歯周病といったトラブルが起きやすくなり、最悪の場合、失明したり足が壊疽(えそ)したりします。
ちなみに糖尿病には2種類あり、10歳代の若い世代に発症する1型糖尿病と、中高年に多い2型糖尿病があります。1型糖尿病の原因はウィルスといわれており、発症数は極めて少ないです。その一方2型糖尿病は生活習慣が原因であり、日本を含め、世界的にも発症例の増加が問題になっています。
国民の2000万人以上が糖尿病予備軍
国内における糖尿病の患者数はおよそ328万人。それは氷山の一角であり、実は糖尿病予備軍の数は2000万人以上ともいわれています。これは中高年の4~5人に1人が当てはまるのです。
厄介なことに、初期の糖尿病は自覚症状が少ないです。そのため、次のような症状が少しでも当てはまる人は、糖尿病予備軍の可能性を考えたほうが良いでしょう。
- 喉が渇く、水をよく飲む
- 尿の回数が増える
- 体重が減る
- 疲れやすくなる
糖尿病のサインは体重が減ることもあります。通常、糖尿病と聞くとやや太っているイメージがあるかもしれません。そのため、体重が減ると「疲れているだけ」「ダイエットの成果が出ただけ」と考え、糖尿病を疑わない人が多いのです。
また、糖尿病が分かるきっかけは、健康診断や献血で、血液の状態を調べたときです。自分の体の状態を把握するためにも、健康診断は定期的に受けましょう。
糖尿病になる食事とは!?
2型糖尿病の原因の多くは、普段の生活習慣です。特に食べ物が偏っていると糖尿病になりやすいでしょう。糖尿病になりやすい人の食生活は、次のようなものをよく食べている傾向があります。
- 肉類が中心で野菜をあまり摂らない
- 毎日お酒を飲む
- 炭水化物が大好き
- 甘い清涼飲料水を好む
- タバコを吸う、早食い など
これらのいずれか1つでも当てはまる場合は、糖尿病になるリスクを考えていた方が良いでしょう。このほかにも、運動をあまりしなかったり、家族や血縁者に糖尿病の人がいたりする場合も注意が必要です。
ヴィーガンは糖尿病になりにくい
ヴィーガンは白砂糖を摂ることは控えるため、基本的に清涼飲料水を飲むことはできません。また、野菜中心の食生活は、大量の脂質や糖質を摂ることもないため、糖尿病にはなりにくいのです。
それはアメリカの研究結果でも報告されており、ヴィーガン食は2型糖尿病に効果的であるとジョージ・ワシントン大学が食事療法のグループ研究で証明しています。そのため、糖尿病患者が日本よりはるかに多い欧米では、糖尿病患者にヴィーガンを実践してもらい、病気の改善に役立てている病院もあります。
ヴィーガン食は糖尿病に効果的な薬
ヴィーガンの食事が糖尿病を改善する糖尿病の改善には、食事と運動が効果的です。なかでも食事は非常に重要であり、糖質を抑えることで症状が改善されます。2型糖尿病の場合、その多くが炭水化物を控え、野菜と玄米などを中心とした食生活が推奨されます。つまり、ヴィーガンの食生活は糖尿病の改善に非常に役立つのです。
また、2型糖尿病には多くの場合、合併症の発症や進行を抑えるための薬が処方されます。しかし、薬を飲んでも糖尿病自体を治すことはできず、普段の食生活を改善しないかぎり、症状の改善には期待ができません。そういう意味では、ヴィーガン食は糖尿病にもっとも効果的な薬ともいえるでしょう。
ヴィーガンには肥満が少ない
ヴィーガンが糖尿病になりにくい理由として、そもそもヴィーガンを実践している人は BMI が低いことが挙げられます。つまり、ヴィーガン実践者の多くは肥満ではありません。野菜中心の食生活なので食物繊維の摂取量が多く、代謝が良いことから太りにくいのです。糖尿病の原因として肥満がありますが、ヴィーガンを実践すれば太りにくくなるため、糖尿病になるリスクも減らせます。
野菜の食物繊維は血糖値の上昇を緩和する
野菜の食物繊維は、血糖値の上昇を緩和する効果があります。菜食主義のヴィーガンは、一日の食事においてしっかりと血糖値をコントロールできるため、糖尿病にはなりにくいです。また、野菜や玄米には豊富な各種ビタミン・ミネラルが含まれており、これを意識的に摂ることによって栄養のアンバランスを正し、糖尿病対策にも有効です。
また、ヴィーガンは肉を食べません。これによりコレステロールや飽和脂肪酸の摂取量を減らすことができます。特に男性の場合、肉を食べる量によって糖尿病のリスクが変わるといわれています。赤身肉の摂取量が多いと、2型糖尿病の発症リスクは上昇します。その点ヴィーガンは肉を一切摂らないため、急激な血糖値の上昇も防ぐことができ、余分な飽和脂肪酸の摂取も防ぐことができます。
ヴィーガンは絶対糖尿病にならない?
こうしてみると、ヴィーガンを実践していれば糖尿病にはならないように見えます 。また糖尿病に罹患してしまっても、その後ヴィーガンを実践すれば、病気を緩和することにもつながるでしょう。
しかしヴィーガンだからといって、絶対に糖尿病にならないというわけではありません 。実は肥満が少ないと言われるヴィーガンですが、アメリカなどを中心に菜食主義でも太っている人が増えているのです。
炭水化物の摂り過ぎには注意を
ヴィーガンは動物性食材を取ることができませんが、米やそばといった炭水化物は摂ることができます。炭水化物は体に消化吸収されてからブドウ糖に分解され、食後の血糖値を上昇させます。そのためヴィーガンだからといって炭水化物をたくさん食べてしまうと、糖尿病になるリスクは否定できません。
特に糖尿病を患った後、ヴィーガンを実践する人は注意が必要です。糖尿病は動物性食品をとらないことで劇的に改善するものではありません。むしろ炭水化物に含まれる糖を心配する必要があります。白米ではなく、なるべく玄米や発芽玄米といったものを主食にしましょう。
ヴィーガンでも肥満になる可能性はある
肥満は糖尿病と直結しているとも言えますが、ヴィーガンでも肥満体形になってしまうケースがあります。それは米を中心とした炭水化物の摂り過ぎがありますが、「ベジタリアンジャンクフード」と呼ばれる食材にも問題があります。
ヴィーガンは白砂糖や動物性食品をとることができないため、おやつも制限があります。しかし、ヴィーガン人口が増えたことにより、美味しくて高カロリーなヴィーガン食材も増えているのです。
例えば植物由来の油で揚げたポテトチップス。一般的なポテトチップスよりはカロリーは少ないものの、たくさん食べることにより肥満になります。またヴィーガン専用のチョコレートやアイス、ケーキなどもネットなどを介してたくさん売られています。欧米ではこうした食材に走るヴィーガンの人が増えており、菜食主義でも太ってしまい、糖尿病になるといったことが増えています。たまには美味しいお菓子が食べたいと思っても、過食の原因にもなるベジタリアンジャンクフードには気を付けましょう。
まとめ
国民病といわれる2型糖尿病は、食生活を改善することで大きな予防や改善になります。ヴィーガンの食生活を用いて糖尿病を改善する方法は、すでにアメリカでは主流になっています。すでに糖尿病になってしまった人はもちろん、糖尿病予備軍の疑いがある人も、ぜひヴィーガンの食生活を参考にして、健康な生活に役立てていきましょう。
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