ヴィーガンは昆虫食なら食べても良い?食糧難を救う昆虫食について

食料不足が懸念されている現在、各研究家たちの間では昆虫食が話題になっています。昆虫食とはその名前の通り虫を食べること。一見グロテスクな行為にも見えますが、昆虫食は悪化している環境問題を救う手立てとしても、注目されているのです。

ところでヴィーガンは動物を食べることは出来ませんが、昆虫食はどうなのでしょうか。今日はヴィーガンと昆虫食の関係や、今後の昆虫食のあり方などについて紹介します。

ヴィーガンは昆虫食を食べても良いの?

ビーガンは昆虫を食べて良いのか。実はそれに関しては明確な定義がなく、個人の判断に委ねられています

あるヴィーガンは「動物の命を奪わないのがビーガンの考え。昆虫に関しても命を奪うことはなく、食べない」と言っています。

しかしその一方「地球環境が悪化し、動物も絶滅の危機に瀕している。それを救う手立てとなるのが昆虫食であり、ヴィーガンであっても昆虫食は積極的に食べるべきだ」 と主張するヴィーガンもいます。ヴィーガンだから絶対に昆虫も食べてはいけない、ということはないのです。

ヴィーガン発足時の地球人口は25億人

そもそもヴィーガンと言う言葉が生まれたのは、ベジタリアンの団体から1944年に植物性食品しか食べない人たちが集まったのがきっかけです。

「全ての動物の命を尊重し、犠牲を強いる事なく生きるライフスタイル」を目標にヴィーガンという生き方が誕生しました。

その当時の地球上の人口はおよそ25億人。ちょうど第二次世界大戦中ということもあり食糧難の国が多く、動物が無残に殺生されることも多々ありました。こうしたこともあり、動物を殺すことに抵抗感を覚えた人々によって、ヴィーガンが発足したのです。

昆虫食なんて考えられなかった

しかし、2020年現在の地球の人口はおよそ75億人。ヴィーガン発足時の3倍です。しかも今後も人口は右肩上がりに増え、今世紀末には110億人に達すると言われています。つまり、今後は圧倒的に食べるものを減ってしまうのです。

ヴィーガンが発足した当初はそのような予想をしている人は誰もおらず、食料のために昆虫を食べるということは予想されませんでした。ヴィーガンが昆虫食について明確な定義がないのは、こうした背景があるからです。

日本には昆虫食が古来からあった

ちなみに、日本は先進国の中でも昆虫食に馴染みがあるといわれています。代表的なものが「イナゴの佃煮」です。

バッタ科の虫であるイナゴは、戦中戦後の日本人のタンパク質を補う貴重な昆虫食でした。当時は栄養があるから食べていたというより、単純に食べるものがなかったから仕方なくイナゴを食べていた、といえます。しかし、イナゴを食べることは貴重なタンパク質の摂取となり、結果的にビタミンや鉄分、カルシウムも摂れたのです。昆虫食が世界中で話題となる現在、イナゴの栄養は再び話題となり、売れ行きが伸びているそうです。

昆虫食が食糧難を救う理由とは

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今後さらに人口が増える地球では、食料のうち動物性たんぱく質が圧倒的に足りなくなると言われています。特に牛を生産するには広大な土地が必要ですが、放牧させるための土地は地球上にほとんど残っていないという研究もあります。

そこで注目されているのが昆虫食です。ここからは、なぜ昆虫食が食糧難を救うのか、世界的に注目されている昆虫食のコオロギを参考に、詳しく見ていきましょう。

飼料効率が良い

家畜を育てるには、1頭につきたくさんの牧草が必要になります。牛を育てるためには膨大な量のエサが必要になり、牛のために自然を破壊して飼料にする必要があるのです。

しかし、昆虫ならエサである草もごくわずかです。以下は、動物別に見た必要飼料の量です。

1㎏のタンパク質を生産するために必要な飼料

コオロギ 1.7㎏
トリ 2.5㎏
ブタ 5㎏
ウシ 10㎏

こう見ると、昆虫食であるコオロギは、1㎏のタンパク質を生産するためのエサの量が圧倒的に少ないことが分かります。その一方、牛から1㎏のタンパク質を得るには10㎏ものエサが必要であり、非常に生産効率が悪いことが分かります。

水はほぼ不要

昆虫食の大きなメリットとして「水がいらない」ことが挙げられます。牛や豚を育てる際には大量の水が必要です。それは飲み水だけではなく、体を洗ったり糞尿を洗い流したり、牛舎の清掃時にも、大量の水が必要になります。こうした畜産業による水浪費が、地球環境に多大なる影響を及ぼしているのです。

しかし昆虫食であれば水は基本的に必要ありません。以下は各動物を飼育するうえで必要となる水の量です。 

体重を1㎏増加させるために必要な水の量

コオロギ 4リットル
トリ 2300リットル
ブタ 3500リットル
ウシ 22000リットル

コオロギが必要とする水の量は、牛が必要とする水の量の5500分の1しかありません。昆虫食がいかに環境に優しいか分かると思います。

バッタによる作物被害を防ぐ目的も

そして昆虫食が話題となったのは、東アフリカを中心に起きているバッタによる農作物への被害がきっかけでもありました。最も被害がひどい場所では、バッタの集団が1日に食べ尽くした食糧は人間の食料35,000人分にも及ぶのです。

被害を起こしているのはサバクトビバッタであり、アフリカの一部の地域ではすでに食料として食べられています。ただ、農作物への被害を食い止めるため、サバクトビバッタには大量の殺虫剤が散布されており、人への影響も危惧されています。なんとか殺虫剤を使わず、サバクトビバッタをそのまま食料として活用できないか研究が行われています。

今後の昆虫食とヴィーガンの関係

Engineered plant-based burger patties from food company Beyond Meat are visible on shelves among other meat alternatives at a grocery store in San...

ビーガンも昆虫食も「動物性食品に頼らない」「地球環境を改善したい」という目的は同じです。昆虫の命を奪うことに抵抗があるヴィーガンは多いですが、その一方でサバクトビバッタのように地球環境に害を与えている昆虫がいるのも事実です。今後、ヴィーガンと昆虫食はどのような付き合いになっていくのか、考察してみましょう。

代替肉の研究が進むのは確か

代替肉とは、動物性食品を一切使わずに作られた肉のことです。ヴィーガンでも愛用している人は多く、今販売されているものは主に大豆がベースになっています。

しかし昆虫食の研究が進んでいる現在、昆虫をベースにした代替肉はどんどん生まれています。すでに大豆+昆虫をベースにした代替肉は海外に存在しており、食糧危機を救うアイテムとして注目されています。ヴィーガンがそれらの肉を食べて良いかどうか、いまは個人の判断に任されています。

ヴィーガンは昆虫を食べる派と、食べない派に分かれる

ヴィーガンは昆虫を食べてはいけない、という明確な定義はありません。今後はその意見について大いに議論されることが予想されます。

ただすでに、ヴィーガンといっても完全菜食主義者であるタイプと、乳製品は食べて良いラクトベジタリアンなど、いろいろなタイプのヴィーガンが存在します。昆虫食が当たり前のように出されるようになったら、「昆虫は食べても良いヴィーガン」という新たなタイプが生まれるかもしれません。

地球環境に貢献できるかがポイント

ヴィーガンが積極的に昆虫食を食べるかどうかは、昆虫食がどれだけ地球環境に貢献したかにもよるでしょう。

例えばフランス料理を代表する昆虫食のエスカルゴは、一時野生のエスカルゴが絶滅の危機に陥り、食べないという人も増えました。そのように人間が楽しむだけの昆虫食には嫌悪感を示す人も多く、ヴィーガンにも受け入れられることはないでしょう。何のために昆虫食は存在するのか、その目的によってもヴィーガンとの関係は変わっていくでしょう。

まとめ

View of scorprion lollipops for giveaway at "Pestaurant" charity event today in Washington, DC on June 4, 2014. It's all part of a fundraiser for DC...

イナゴや蜂の子など、日本では昔から昆虫食を食べる習慣がありました。ただ、見た目がややグロテスクな印象もあり、いまの一般家庭では受け入れられないことが多いです。

それでも世界的には圧倒的な食糧不足が懸念されており、日本でも肉がなかなか手に入りにくいことが起きるかもしれません。ヴィーガンに限らず、今後の食料をどうしていくのか、真剣に考える必要があります。

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