マクロビオティックには危険性がある?陥りやすい間違いとは

マクロビオティックは、今や世界に認められた健康法の一つです。特に米国では指導者の久司道夫氏がスミソニアン博物館に殿堂入りするなど広く認められています。

しかしその一方で、マクロビオティックは危険である、という報告もあります。医学的に見た危険性もあれば、実践した人からの不調の訴えもあります。

これはどういうことなのでしょうか。

 

マクロビオティックの基本的な考え方

まずは、マクロビオティックの基本の考え方を簡単に説明しましょう。

 

身土不二(地産地消)

住んでいる地域で旬のものを食べることが最も身体に良いということです。特に「旬」に対する考え方はマクロビに限らず、日本人の誰でも大切にしていることです。

 

一物全体

できるだけ丸ごと食べるということです。野菜であれば皮や葉、根もうまく料理に組み込むというのは、最近よく言われるようになった「フィトケミカル(ファイトケミカル)」がこういった部分に最も多く含まれるから、といえば納得できるのではないでしょうか。最近はベジブロスで皮やへた、芯などをうまく使う方法があります。

 

※フィトケミカル…イソフラボン、カテキン、ルテイン、アントシアニン、リコピンなど、健康に良いといわれる植物由来の物質

 

また、漢方薬で見てみると、「陳皮」と呼ばれるマンダリオンオレンジの外皮や、マメ科の植物の根を乾燥させた「甘草」が病気の治療に使われています。

 

このように、普段捨ててしまう部分にも身体に良い成分が含まれているので、できるだけ食事に組み込みましょうということです。

 

陰陽調和

陰陽というと難しい東洋医学や思想を思い浮かべるかもしれません。簡単に言うと、食べ物には身体を冷やすものと温めるものがあるので、それを考えながら料理を作りましょうということです。

これは「旬」につながります。旬のものはその季節に最も合ったものなので、できるだけ旬のものを食べるようにすれば身体に良いのです。

古くから伝えられている言葉の一つに「秋ナスは嫁に食わすな」がありますが、この意味は秋のナスは身体を冷やすので、子供が出来にくくなるから、という説があります。

 

マクロビに危険性があるとされる理由

これだけ見ると、特に問題は感じないのではないでしょうか。さすがに根っこまでは食べにくいにせよ、それ以外はすでに実践している人も多いはずです。

それなら何故、マクロビオティックが危険だといわれるのでしょうか。

 

塩を多めに摂るから

マクロビで最も危険視されるのが、塩分の摂取量の多さです。日本人は元々塩分摂取量がかなり多めです。WHOの推奨量は1日5g以下、厚労省による目標量は女性が7.0g、男性が7.5gです。ところが、平成30年国民健康・栄養調査によると、20歳以上の平均値が男性は平均10.97g、女性は9.23gと、2g以上オーバーしています。

しかし、マクロビオティックではさらに多くの塩分を調理に使用します。統計がないので実際の摂取量は不明ですが、普通食の人がマクロビの料理を食べると、かなりしょっぱいと感じることが多いようです。

 

タンパク質が不足するから

動物性食品にはタンパク質が多く含まれているため、それを摂取しないことでタンパク質不足になる、と考えている人は少なくありません。

 

マクロビオティックでは栄養素が不足するから

動物性タンパク質には含まれているが、植物性にはほとんど含まれていないものにビタミンB12があります。タンパク質の合成や貧血予防、神経機能の維持などの作用があるため、不足すると健康被害を起こしやすくなる、という意見があります。

 

盲目的な信奉者が多いから

これはマクロビオティックに限らず、ヴィーガンやベジタリアンにも少なからずいます。自分で信じているだけならまだしも、家族や友人にも強要するため、人間関係が悪くなってしまいます。

 

マクロビオティックは正しく行えば危険性はない

これらの理由は、マクロビオティックそのものに問題があるのではありません。その点について解説しましょう。

 

本来のマクロビオティックは人によってメニューも調理法も違う

マクロビオティックは健康を維持する方法ですから、その日の体調や気分によって食材や調味料を変えるべきものです。料理本やWebのレシピはあくまで標準化したもの、あるいは作者の好みの味にしてあるものですから、それが他の人に合うとは限りません。

しかし、中にはまるでマクロビオティックを宗教のように妄信し、何が何でもレシピ通りに作らなければいけない、と考える人がいます。そういう人ほど体調を崩しやすく、マクロビオティックで病気になったと考えてしまうのです。

 

塩の適量は誰でも同じではない

マクロビオティックで塩分量が多いのは、動物性食品が陽性で身体を温める力が強いのに対し、植物性食品はそれより陰性で、身体を冷やすためです。塩分は極陽性なので、それでバランスを取っているのです。

しかし、これは上記のこととつながっていますが、塩の適量も当然人によって、あるいは日によって違います。

例えば、汗を多くかいた日は塩分を多めに、とか、ちょっとイライラしているから塩分を減らそうといったことは、その人の健康を守るために大切なことであり、マクロビオティックの教室でもそのように教えているはずです。

 

もし自分にはちょっとしょっぱいと感じたら、塩分を減らしたり野菜を増やしたりして味を調整すれば良いのです。

 

マクロビオティックのレシピ通りの塩分量を毎日摂取していると、中には体質や性格が大きく変化してしまう人がいます。塩分は交感神経を活性化させるため、攻撃的になったりイライラしやすくなったりするのです。また、筋肉を緊張させる作用もあるため、塩分を取り過ぎると身体が硬くなってしまう場合もあります。

マクロビオティックでは、女性は本来男性より陰性で、身体も心も少しふっくら柔らかいのが正しい、と考えています。もちろん太り過ぎは良くありませんが、男性とは違う性であることをきちんと理解し、料理に活かすことが大切です。

 

タンパク質は植物からでも十分摂れる

マクロビオティックに否定的な人は、よく豆腐を引き合いに出してタンパク質が全く足りないと主張します。

しかし、タンパク質はほぼすべての食材に含まれており、植物性食材だけでも1日の必要摂取量をカバーするのは決して難しいことではありません。

 

例えば、玄米ご飯を1日3膳摂ると、それだけで約13.5gのタンパク質が摂取できます。納豆1パック(50g)で約8.2g、豆乳200mlで約7.4g、豆腐とわかめの味噌汁1杯で約4gと、これだけで30gを超えます。女性の1日のタンパク質必要摂取量は30~50g程度ですから、植物性食品だけでも十分補えるのです。

ただ、植物性タンパク質は動物性に比べると必須アミノ酸の量が少ないものが多くあります。大豆にはすべてのアミノ酸がたっぷり含まれているので、大豆製品を摂ることが大切です。

 

確かに不足する成分もありますが…

ビタミンB12は、植物性タンパク質に不足する栄養素です。しかし、ビタミンB12は海藻類に多く含まれているので、海苔やわかめ、あおさなどを食べることで対処できます。

また、亜鉛や鉄が不足するという意見もありますが、亜鉛や鉄分は大豆製品やアマランサス、オートミールなどに多く含まれています。

 

ただ、亜鉛は穀類や豆に含まれるフィチン酸、青菜のシュウ酸、食物繊維によって吸収が悪くなってしまいます。しかしその反面ビタミンCと一緒に摂取すると効率良く吸収できるので、ビタミンCが多いピーマン(特に赤・黄)やモロヘイヤ、ブロッコリー、キャベツ、えんどう類などを温野菜にして食べると良いでしょう。

 

なお、ビタミンCは加熱すると破壊されるといわれていますが、実際には通常の調理時間ではほとんど変化がないことが、女子栄養大学の実験でわかっています。

 

まとめ

マクロビオティックは厳格な玄米+菜食主義ではなく、一人一人に合った食材や調理法によって健康を保つ方法です。確かに最初のうちはレシピ通りに作ってみることも大切ですが、自分のその時の味覚や感性を最も大切にし柔軟に対応できれば、全く危険性はないので、安心して試してみてくださいね。

 

関連記事