加工肉がガンの発症率をアップする?!ヴィーガンとガンを予防するメカニズム
ヴィーガンはさまざまな健康効果があるといわれていますが、最近の研究結果で注目されているのが「ガンを抑制する」というものです。一見菜食主義は動物性たんぱく質が摂れないため、栄養不足になることが懸念されることもあります。しかし、あえて動物性食品を摂らないことが、ガンの発生率を抑えているという報告もあるのです。今日は、ヴィーガンとガンの関係について詳しく見ていきましょう。
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ベジタリアンはガンの発生率が少ない?
ベジタリアンの研究は世界中で行われており、ベジタリアンやヴィーガンにおけるガン発症および寿命の調査がされています。その一例としてオランダの菜食キリスト教信者の調査によると、ベジタリアンのガンによる死亡率は一般国民と比べて50%低いことが分かっています。この研究結果を支持する団体は多く、アメリカのロマンリンダ大学や米国栄養学会誌なども、ベジタリアンはガンの発生率が低いと公表しています。
ただ、最新の一般的な研究結果では、正確にはベジタリアンやヴィーガンだからガンの発生率が少ないというより「発がん性物質の高い加工肉を食べていないからガンの発生率が低い」という考えが正しいようです。ヴィーガンでも野菜しか食べないといった偏った食生活の場合、ガンをはじめとしたさまざまな病気に罹患することもあり注意が必要です。
乳ガンはヴィーガンが最も低い
そして乳がんに関してはヴィーガンを実践している人が最も発症率が低いという研究結果もあります。乳がんは日本でもここ最近発症率が上がっており、その原因の1つが肉を中心とした欧米化の食生活であるといわれています。
理由としては、ヴィーガンの場合肉や魚を食べることがないため、肥満になりにくいことが挙げられます。肥満になると脂肪に蓄えられる女性ホルモンの量も増え、それが過剰に分泌されることから乳癌になるリスクもあるのです。しかし菜食中心であるヴィーガンは女性ホルモンの分泌量も安定し、食べ物が原因で乳ガンになるリスクを減らすことができます。また、食物繊維を豊富に摂ることから腸内環境が整い、心身のバランスが安定していることでガンをはじめとした病気に掛かりにくいとされています。
ファイトケミカルに注目
依然として世界にはいろいろな意見はあるものの、ヴィーガンをはじめとした菜食主義の人は、基本的にガンの発生率が低いことが分かっています。
この理由の一つにファイトケミカルの存在があります。ファイトケミカルは、主に野菜から取れるベータカロテンやリコピンといった体に欠かすことのできない栄養素です。ファイトケミカルを多く摂ることにより、体内の活性酸素への抗酸化作用が働き、各種ガンの予防効果になります。一般の人よりも普段から野菜や雑穀でファイトケミカルの量を摂ることが多いヴィーガンは、こうした理由からガンになりにくいのです。
加工肉はガンの発生率をアップさせる
今の科学者における多くの見解では、ヴィーガンがガンになりにくいというより、「着色料などを含む加工肉を多く食べるとガンの発生率が上がる」という意見が中心です。これはすでに世界保健機関(WHO)などもはっきりと指摘しています。その具体的な品目は
- 亜硝酸塩で着色されているハムやソーセージ
- 添加物の多いホットドッグ
- ブロックベーコン
こうした加工肉を1日50グラム摂取することで、大腸がんの発生リスクはそれらを食べない人に比べると18%も増加するのです。
ガンを発症させる代表的な物質としては、タバコに含まれるニコチンやタール、そして空気中に含まれるダイオキシンなどがあります。しかし加工肉を毎日のように食べると、それらの有害物質に負けないくらいガンの発症率が上がってしまうのです。
一般的な肉でも看過できない
加工肉がガンの発症率を上げるのであれば、一般的な畜産肉は問題がなさそうに見えます。しかしアメリカの癌専門医学誌に発表された内容によると「牛や豚羊といった畜産肉を毎日100g摂取すると、大腸がんの発がんリスクはそれらを食べない人に比べ17%増加する 」との見解を示しています。そして特に畜産肉の場合、大腸がんやすい臓がん、前立腺がんとの関連性が高いとしています。
なぜ肉食はガンと直結するのか
ここまで見てみると肉食はやはりガンと密接な関係があることが分かります。なぜ畜産肉でもガンと直結するのか、その理由はいまだ限定的です。しかしいまのところ考えられる大きな理由としては、畜肉がガンを発症させるというより、肉が市場に出される時に亜硝酸塩やニトロファミソンといった添加物が多く含まれるからです。
当然ながら、肉は私たちの食卓に出されるまで腐らせないよう、色々な加工をしなくてはなりません。これは牛肉や豚肉も例外ではなく、出荷の際には多くの添加物が肉に含まれています。特にベーコンやソーセージといった加工物のなかには、タバコやアスベストと同じぐらい強烈な発がん性物質を含む添加物が含まれているケースもあるのです。
WHOが公表した発がん性リスク一覧
WHOにおける国際がん研究機関は、発がん性リスクのある物質を一覧表で公表しています。
グループ1 人に対する発がん性が高いもの | アスベスト、放射線、タバコ、アルコール、加工肉 など |
グループ2A 人に対しておそらく発がん性があるもの | 紫外線、クレオソート、ベンゾピレン、牛や豚を含む畜産肉 など |
グループ2B 人に対して発がん性の可能性がある | 活性酸素、ウイルス、アセトアルデヒド、クロロホルム、など |
グループ3 人に対する発がん性について分類できない | 合成着色料、マラチオン、サッカリンなど |
活性酸素やウイルス、そして合成着色料は何となく体に悪いイメージがあります 。しかしこちらの調査によると、それよりも畜産肉や加工肉の方が、人に対する発がん性が高いと公表していることが分かります。
どうすればガンを予防できるのか
では反対にガンを抑制する食べ物や、具体的な方法はあるのでしょうか。それに関しては米国ガン研究財団が14箇条のガン予防を公表しています。以下はその一部です。
- 野菜や果物豆類精製度の低いでんぷん質などの主食食品を取るようにする
- 成人期の体重増加を5 kg 未満にし BMI を健康体に維持する
- 1日に600から800gまたは7皿以上の穀類豆類芋類バナナなどを食べること
- 畜肉いわゆるレッドミートは1日80g以下に抑える
- 動物性脂質を控え植物油を使用する
これらを見ると、穀物や豆類、野菜を中心に食べるヴィーガンの食生活にピッタリとあてはまります。ヴィーガンは基本的に肉を食べることがないため、自然と亜硝酸塩やニトロファミソンといった添加物を摂ることがありません。レッドミートを避け、植物油を中心に取る生活は、意識せずともガンを予防する食生活を送っているといえるでしょう。
まとめ
ガンの発症原因に関しては、ストレスや遺伝的な問題もあり、一概に食べ物を変えたからと言って100%ガンを予防することはできません。それでも肉中心の食生活を送る人がヴィーガンの食事を意識することにより、ガンをはじめとしたさまざまな病気を予防できる可能性は高いでしょう。
ヴィーガンは地球環境を守るだけでなく、私たち人間の体も守ってくれる食事方法といえます。100%のヴィーガンを目指すのは難しくても、肉の摂取量を減らし、穀物や豆類、野菜を中心に食べる生活へ徐々に変えてみましょう。毎日の食事を少し意識して変えることが、ガン予防をはじめとした健康にも役立ちます。
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