ヴィーガンが鉄分不足というのは本当か?その理由と対策を徹底解説
ヴィーガンは植物由来の食べ物しか食べることができません。そのためヴィーガン食は「太りにくい」「アレルギーの人も安心できる」といったメリットがあります。
しかしその一方で、肉や魚、卵を食べることができないことから栄養不足も指摘されることがあります。特に「鉄分」に関しては肉のレバーや赤身の魚を食べることができないため、ヴィーガンは鉄分不足になることが懸念されています。
果たしてヴィーガンは、実践することで本当に鉄分不足になってしまうのでしょうか。今日はヴィーガンと鉄分の関係、そして不足しないための対応策などを紹介します。
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ヴィーガンに限らず鉄分不足の人は増えている
ヴィーガンは本当に鉄分不足なのか?その答えは「イエス 」ともいえますが、実は「現代人はヴィーガンでなくても貧血の人が非常に多い」という背景があります。
つまりヴィーガンであってもそうでなくても、現代では鉄分不足に陥っている人が多いのです。まずはこれがどういうことなのか見ていきましょう。
一般的な血液検査だけで貧血かどうかは分からない
人は、鉄分が足りないと、立ちくらみやめまいなどの貧血症状を起こします。特に女性の場合は生理があることから貧血が起こりやすいです。
そのために健康診断では血液検査を行い、そのヘモグロビンの数値から貧血かどうかを判断します。一般的な女性のヘモグロビンの女性の基準値は12.1-14.5(g/dl)といわれており、12g/dl未満になると貧血と診断されます。
しかし、実際には数値が平均値であっても、貧血症状を抱えている女性が非常に多いのです。
実は「隠れ貧血」の女性は多い
あなたは日常生活において、次のような症状はないでしょうか。
・立ちくらみやめまいが起きることがある
・肩こりや頭痛がある
・さほど日焼けをしていないのにシミができやすい
・何をしても疲れてしまう
・生理前後や生理中には体調不良になりやすい
・月経過多である
・理由もなくイライラしたり、悲しくなることがある
・薬が飲みにくいなど、喉につっかえ感や不快感がある
上記の症状が2つ以上当てはまる場合「隠れ貧血」の可能性があります。隠れ貧血とは、ヘモグロビンの数値ではなく、鉄貯蔵タンパクである「フェリチン値」によって分かる貧血です。フェリチン値の基準平常値は、男性20~250ng/ml,女性は10~80ng/mlとなっています。特に女性は検査してみると10以下の数値であるケースが多く、隠れ貧血を起こしているケースが多いのです。
フェリチン値による貧血検査は主に内科や産婦人科でできます。ただ、上記の症状に多くあてはまる場合は、体に鉄分が足りないと判断しても良いでしょう。
なぜ現代人には貧血が多いのか
貧血は現代病の一種ともいわれており、ここ最近問題になっています。特に日本人の貧血は増えており、その原因は欧米化した食生活といわれています。
一見すると、欧米化した食生活は肉を食べることが多いので、肉を中心に鉄分がとれるようにも見えます。しかし鉄分を身体に取り入れるには、鉄分だけをとればいいのではありません 。体に鉄分を取り入れるためには野菜や発酵食品などを積極的にとり、鉄分を吸収するサポート食材が必要がなのです。
欧米化した食生活には、納豆やぬか漬けといった発酵食品は含まれず、肉や魚を中心とすることから野菜を食べる量も減ってしまいます。こうして鉄分を吸収するサポート役の食べ物が減ったことから、現代人は鉄分が不足しているのです。
ヴィーガンの食生活 実は鉄分が多い
鉄分を吸収するサポート食材は、上記に紹介した通り主に2つあります。
・野菜全般
・納豆などの発酵食品
ヴィーガンは、野菜を中心に食べる食生活であり、納豆やぬか漬けといった日本古来の発酵食品もしっかりと食べることができます。レバーや赤身の魚といった鉄分が豊富なものを口にすることはできませんが、その代わり鉄分の吸収をサポートする食材はしっかりと食べることができるのです。
また、小松菜や大豆には肉に負けない豊富な鉄分があります。そのため、ヴィーガンの食事には意外と鉄分が多く、ヴィーガンを実践していない人よりも鉄分をしっかりと取っていることも多いのです。
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類
ところで、鉄分と一言で言ってもその種類は2種類あるのをご存知でしょうか。それはヘム鉄と非ヘム鉄に分けることができます。
ヘム鉄 | 非ヘム鉄 |
レバーなど赤身の肉 カツオ、マグロ、イワシなどの赤身魚 | 小松菜、菜の花、ほうれん草などの野菜 大豆など |
こうして見ると、ヴィーガンが取れる鉄分は、非ヘム鉄に集中していることがわかります。
しかし、肉や魚から取れるヘム鉄は、そのまま食べても体内の吸収率が高いのですが、野菜などから取れる非ヘム鉄は、そのまま食べても吸収率が低いというデメリットがあります。
そのためヴィーガンの人は、非ヘム鉄を効率よく摂取するために工夫が必要です。
食事の摂り方次第で非ヘム鉄も吸収できる!
体への吸収率が悪いといわれている非ヘム鉄ですが、次のような栄養素と一緒に摂取することで体内への吸収率を上げることができます。
- ビタミンC
- たんぱく質
- クエン酸
- 葉酸
これらの栄養が含まれている食材は次のようなものです。
緑黄色野菜・大根やキャベツ・みかんなどの柑橘類・大豆・ほうれん草・ブロッコリー |
これらはヴィーガンでも積極的に食べられる食材です。
例えば、非ヘム鉄を豊富に含む小松菜と、タンパク質を豊富に含む油揚げを組み合わせて煮つけなどにすれば、鉄分の吸収に優れた1品ができます。こうして食材をうまく組み合わせることにより、ヴィーガンでもしっかりと鉄分を取ることができるのです。
鉄分不足を防ぐポイント
紹介しているように、鉄分不足はヴィーガンに関係なく現代人に起こる症状です。特に月経のある女性の場合、5人に1人が実は隠れ貧血というデータもあります。
鉄分を効果的に取る食材を組み合わせて料理をすることが大切ですが、毎日鉄分を含むレシピを考えるのは大変ともいえます。ここからは、手軽にできる鉄分対策について紹介します。
ヴィーガンに限らずサプリメントはおすすめ
鉄分不足で注目されているのはサプリメントの活用です。ヴィーガンには動物性食品不使用のサプリメントが数多く出ていますが、 その多くは鉄分も配合されています。
一般的な鉄分サプリメントの場合、動物性食品からとれるヘム鉄が使われていることが多いです。しかし、ヴィーガン専用のサプリメントなら植物性由来の鉄分しか含まれず、安心して飲むことができます。日常的にサプリメントを活用することにより、貧血なども予防できるでしょう。
「鉄なべ」を使おう
フライパンといえばテフロン型の焦げ付きにくいものが主流となっています。しかし昔の人は鉄でできたフライパンを使っており、鉄鍋や鉄の土瓶なども使うことが当たり前でした。
実はこうした鉄でできた調理器具を使うことで、鉄分の摂取につなげることができます。
鉄分を摂れる調理器具として有名なのが「南部鉄器」です。やや値段は高いものの、お湯を沸かすときだけでも南部鉄器を使うことにより、日々に摂れる鉄の含有量は増えるでしょう。おススメはトマト料理と煮込むこと。トマトなど酸性の食材は、鋳鉄(ちゅうてつ)の鍋やフライパンで調理すると鉄が食材に溶け出す効果があります。
まとめ
ヴィーガンは鉄分が不足するのか?その答えはヴィーガンだから不足するのではなく、現代人すべてが鉄分不足に陥りやすい、といえます。
ヴィーガンでも非ヘム鉄食材はたくさんあり、鉄分を吸収しやすい栄養を同時に取ることで鉄分不足は防ぐことができます。すでに貧血気味な人はサプリメントや調理器具などもうまく活用し、日々の生活で鉄分を意識してとっていきましょう。
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