マクロビオティックする人はベジタリアン?違いを理解しましょう
日本では、菜食主義の人を「ベジタリアン」といいます。マクロビオティックも玄米と野菜を中心とした食事を摂り、基本的に動物性食品は摂りません。
しかし、ベジタリアンとマクロビアン(マクロビオティックの実践者)は似ているようで大きな違いがあります。
この2つの違いについて解説しましょう。
Contents
マクロビオティック、マクロビアンとは
マクロビオティックは、玄米や雑穀と野菜、味噌、醤油などを中心にした食生活を通して、身体はもちろん、心も健康にして一生を幸せに生きるための理論のことをいい、それを実践しているのが「マクロビアン」です。
こういう言い方をすると難しそうですが、食べたものが性格に影響するということはすでに多くの国の研究でわかっています。例えば、ジャンクフードばかり食べていると自己コントロール能力が低下することが、カリフォルニア大学などの研究でわかっています。また、オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学は、ジャンクフードがうつ病や衝動的な行動の原因となる可能性を指摘しています。
さらに、10年以上ミス・ユニバース・ジャパンの栄養コンサルタントをしていたエリカ・アンギャルさんによると、精製された白パンやトランス脂肪酸を多く摂っている人は、忍耐力や落ち着きがなくなる、と指摘しています。
マクロビオティックでは、食べたものがその人の身体も性格も作ると考え、できるだけ心を平安に保つことが長寿のひけつだと考えています。そして、動物性食品は心も身体も乱しやすい、という考えから、できるだけ摂らないようにしているのです。
菜食主義(ベジタリアニズム)、ベジタリアンとは
「ベジタリアン」は日本では菜食主義と訳され、野菜のみを食べる人のようなイメージがあります。しかし実際には非常に多くの種類があります。また、分け方も様々あり、例えばデルタ航空では以下のような分類をしています。
・アジアンベジタリアン食…肉類、魚介類、卵を除く
・ベジタリアン食(完全菜食)…肉類、魚介類、卵、乳製品を除く
・ベジタリアン食(卵・乳製品を含む)…肉類、魚介類を除く
・ヒンドゥー教徒食…乳製品を除く
・ジャイナ教徒食…根菜を除く野菜のみのベジタリアンミール
また、名称で分けると代表的なベジタリアンは以下のように分かれます。
・ヴィーガン…完全菜食、動物性食品は一切摂らない
・ラクト・オボ・ベジタリアン…卵と乳製品は摂る
・オボ・ベジタリアン…卵は摂る
・ラクト・ベジタリアン…乳製品は摂る
・オリエンタル・ベジタリアン…五葷(ネギ、玉ねぎ、らっきょう、ニンニク、ニラなどネギ科の野菜類)を避けた菜食、精進料理
・ペスキタリアン…魚介類は摂る
・ポロタリアン…鶏肉と魚介類は摂る
・フルータリアン…果実・種子・ナッツのみを摂る
・ホールフード菜食…精製していない植物性食品を中心に摂る
・フレキシアタリアン…時々菜食をする
このように非常に多くの種類があり、それぞれは宗教によるものもあれば、健康や環境問題など個人の主義主張から来ているものもあります。日本では「ベジタリアン」というと1種類しかないと考えがちですが、実は一つにまとめられるものではなく、共通点は「野菜を中心に食べる」ということだけなのです。
マクロビアンとベジタリアンそれぞれの考え方
マクロビアンとベジタリアンの違いは、食材の捉え方にあります。
マクロビオティックでは、穀類や野菜を3つの原則によって選んでいるのです。
原則1:身土不二
身土不二とは、「身(からだ)」と「土(住んでいる土地)」は「不二(分けられない)」という考えで、住んでいる土地で栽培された旬の食材が、最も身体を健康に保つということです。大きく見ると日本対海外ですが、厳密には日本国内でも遠方のものは身体に合わない、とされています。
原則2:一物全体
食材は、そのものが持つものすべてを摂取することが大切、ということです。例えば野菜の皮や葉、根は捨てられることが多いのですが、それも合わせて摂ることでその野菜の持つ栄養素を全部得ることができます。
玄米や雑穀、全粒粉を主食にするのは、未精製の部分にビタミンやミネラル、ファイトケミカルなどが多いからです。
原則3:陰陽調和
陰陽とは東洋の思想で、食材に当てはめると身体を冷やす「陰」と温める「陽」、さらに「中庸」に分かれます。
夏や暑い地域で採れるものは陰性、冬や寒冷地で採れるものは陽性で、それぞれ旬のものを食べることで、その季節に合った身体を作ることができる、という考え方です。
陰陽というのは固定された考えではなく、同じ野菜でも採れた地域によって違います。
例えば、キュウリは宮崎と群馬がほぼ同量生産しており、宮崎で採れたもののほうが陰性です。また、ゴーヤも同様で、沖縄で採れたものと茨城で採れたものでは、沖縄のほうが陰性です。
さらに、宮崎で採れたキュウリと茨城で採れたゴーヤでは、宮崎キュウリのほうが陰性です。
しかし、キュウリが日本に伝わったのが6世紀頃、対してゴーヤは16世紀頃といわれており、どちらが日本人に合うかといえば、より古くから日本で栽培されていたキュウリということになります。
また、身土不二の考え方を当てはめると、東京の人なら宮崎より群馬のキュウリ、福岡の人なら群馬より宮崎のキュウリのほうがより体質に合っていると考えられます。
ただ、いつでもこのように考えると、使える食材が減ってしまいます。
厳格なマクロビアンや病気治療でマクロビをしている人には必要ですが、そうでない場合は「旬のもの」ということだけ抑えれば、それほど問題はありません。
ベジタリアンの考え方
ベジタリアンには様々なタイプがあり、日本ではヴィーガンやマクロビアンとほぼ同じ考え方をしている人もいます。日本には四季があり、普通食を食べている人でも地場の旬の野菜を摂ることが身体に良いということを知っているからでしょう。
しかし、基本的には身土不二・一物全体・陰陽調和という考えはあまりありません。植物性食品という大きな枠の中に入っているものであれば、季節や産地はそれほど気にしませんし、野菜の皮や葉も捨ててしまう人が多いようです。
まとめ
マクロビアンとベジタリアンの違いが何となくご理解いただけたでしょうか。ベジタリアンに比べるとちょっととっつきにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、慣れてくると徐々に身体や心が欲しがっているものがわかるようになってきて、心身のバランスが取れやすくなってきます。
興味が出たという方は、ぜひ試してみてくださいね。
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