大豆ミートは「非遺伝子組み換え」が良い?その理由や現状を徹底解説
世界中で開発が進められている大豆ミート。本来の肉よりも生産性が高く、畜肉と違ってエサや牧草地が必要ないことから、地球環境にも貢献できるものとして注目されてきました。
しかし、大豆ミートの原材料は大豆からできており、気になる点もあります。それは大豆が「遺伝子組み換えかどうか」という点です。遺伝子組み換え食品はむかしからさまざまな議論が行われており、食の安全性が高い日本では抵抗感がある人も多いです。果たして大豆ミートを選ぶ際には、非遺伝子組み換えのものを選んだ方が安心なのでしょうか?今日は大豆における遺伝子組み換えについて詳しく紹介します。
Contents
大豆には遺伝子が組み換えられているものもある
日本の食品は、大豆やジャガイモ、とうもろこしなどの8つの作物において、遺伝子組み換え商品の販売が認められています。
遺伝子組み換えが認められている8つの品目 大豆、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ |
中でも大豆は大豆ミートを始め、豆腐や豆乳、味噌などの様々な加工品に使われており、流通されている量は多いです。そのため、大豆加工品のなかには遺伝子組み換え大豆が使われていることもあります。
そもそも遺伝子組み換えとは?
遺伝子組み換えを簡単に説明すると、その作物に対し他の生物から抽出した遺伝子を組み替え、新しい機能を持った遺伝子を持つものをいいます。特定の機能を持つ遺伝子があれば、害虫に強くなったり、除草剤に負けず枯れなかったりするメリットがあります。
いま地球上の人口はおよそ75億人です。本来地球における理想的な人口は30億人と言われており、これをはるかに上回る人間が存在しています。
そのため本来の作物を育てる手法では、食料が足りません。害虫や除草剤に強い性質を持った遺伝子組み換え食品を開発することで、食糧難を解決することにもなるのです。
遺伝子組み換えのメリット
紹介している通り、遺伝子組み換え食品は害虫や除草剤に強いため、大量に生産ができます。これにより食糧危機を救い、多くの人のお腹を満たすことが可能です。そしてこのほかにも、遺伝子組み換え食品は次のようなメリットがあります。
- 害虫に強いため農薬の散布が少なくて済む
- 大量に生産できることからコストが安くなる
- 時代に合わせた作物を短時間で生産できる
食糧危機が問題になっている現在、遺伝子組み換え作物はもはやなくてはならないものになってきました。日本でもトウモロコシや大豆から加工されている食品では、遺伝子組み換え品が多く使われています。
デメリット
その一方、遺伝子組み換え食品には「人体に悪影響を及ぼす」といったデメリットもいわれています。
- アレルギーの原因になる
- アメリカでは発達障害の原因になっているという意見も
- 除草剤の耐性が強い遺伝子種が風などで運ばれ、自然の草花に悪影響を及ぼす
ただ、遺伝子組み換え大豆が人体に及ぼす影響は、まだ明確には分かっていません。遺伝子組み換え食品が生まれて日本で流通してからおよそ20年。まだ短い期間であることと、誰がどのくらい遺伝子組み換え食品を食べているのか明確には分からないことから、遺伝子組み換え食品が絶対に体に悪いとも言い切れないのです。
大豆ミートを選ぶならどっちが良い?
そこで気になるのが大豆ミートは果たして遺伝子組み換えなのかどうか、という点です。メーカーによって違いはあるものの、ヴィーガンが安心して使える「乾燥大豆ミート」は、遺伝子組み換えではない商品が多いです。乾燥大豆ミートは国内メーカーが手がけているものが多く、たとえ大豆が外国産であっても「遺伝子組み換えではない」と表記されているものが多いのです。
その一方、注意したいのが大豆ミートでできている加工品です。ハムやハンバーグ、ソーセージなどの加工品は、そもそも遺伝子組み換えかどうか明記されていないことがあります。加工品が必ずしも遺伝子組み換え食品だとはいえませんが、気になる人は原料表記をチェックしたほうが良いでしょう。
安全性を選ぶのなら「非遺伝子組み換え」が良い
遺伝子組み換え食品は必ずしも体に悪いとは言い切れません。ハッキリとした調査結果が出ていないことから、遺伝子組み換えは「危険」であるというより、「安全とは言い切れない」といえます。
例えば、体への悪影響として懸念されているのがアレルギーです。今の子供達はアレルギー体質が増えているといわれていますが、その原因として遺伝子組み換え食品を食べているからという専門家もいます。断言はできないものの、例えば子供にも積極的に大豆ミートを食べさせたいのなら、加工品よりも水から戻して使う大豆ミートを選んだ方が遺伝子組み換え食品を避けられるでしょう。
各メーカーのサイトを調べるのもおススメ
大豆ミートに関しては「水から戻すタイプの大豆ミートなら非遺伝子組み換えが多い」といえ、ハンバーグなどの加工品の場合は「遺伝子組み換え大豆が使われているケースもある」といえます。
ただ、たとえば大手食品メーカーであるマルコメが手掛ける「ダイズラボ 大豆のお肉 」シリーズには、原材料に遺伝子組み換えかどうかは表記されていません。しかしメーカーの問い合わせサイトには「遺伝子組み換え大豆ではありません」とはっきり明記されており、表示がなくてもよく調べてみると非遺伝子組み換えであることが分かります。気になる方は、利用している大豆メーカーのサイトをチェックしてみるのもおススメです。
ヴィーガンは要注意!?遺伝子組み換え大豆の存在
日本人は大豆ミートだけでなく、豆腐や納豆、みそや醬油など、昔から多くの大豆食品を食べています。特に魚や肉を食べないヴィーガンは大豆の摂取率が高く、使われている大豆が遺伝子組み換えであるかどうか気になるところでしょう。ここからは、どの食品に多く遺伝子組み換えが使われているのか紹介します。
輸入される大豆の多くは遺伝子組み換え
日本は大豆をたくさん使う国なのに、その自給率はたったの7%です。大豆の多くはアメリカを始めとした輸入に頼っています。しかも、輸入された大豆の多くは遺伝子組み換えなのです。
例えば日本人に馴染みのある調味料として醤油があります。醤油は大豆が主な原料ですが、遺伝子組み換えがどうかの表示義務はなく、実は多くが遺伝子組み換え大豆を使っています。醤油は豆腐や納豆とは違ってダイレクトに大豆を食べるわけではありませんが、醤油を通じて知らず知らずのうちに遺伝子組み換え食品を口にしているともいえるでしょう。
実は遺伝子組み換え大国の日本
以下は日本で流通されている遺伝子組み換え食品の一部です。
遺伝子組み換え食品指定品目 | 食品名 |
大豆 | 醤油、乳化剤など |
全4品目 | サラダ油、植物油脂 |
トウモロコシ | コーンスターチ、冷凍コーン、食用酒など |
大豆、なたねなど | マヨネーズ、マーガリンなど |
その他 | トレハロース、みりん風調味料など |
こうみると、日常で使うことが多い調味料において、多くの遺伝子組み換え食品が使われていることが分かります。日本では加工品においては遺伝子組み換えがどうかの表示義務がないため、知らず知らずのうちに遺伝子組み換え食品を食べていることも多いのです。
しかし納豆や豆腐は非遺伝子組み換えが多い
ただ、豆腐や納豆といった大豆が主な原料である食品は「非遺伝子組み換え」であることが多いです。これは、豆腐、納豆、味噌には遺伝子組み換えに関する表示義務があるからです。
表示する義務に対して「これは遺伝子組み換え大豆が使われています」と書いてしまうと、食の安全性を求める日本人は敬遠することがあり、売り上げにつながりません。そのため、豆腐、納豆、味噌に関しては、輸入大豆を使っていても非遺伝子組み換え大豆が使われていることが多いのです。
日頃から「遺伝子組み換え」をチェックしよう
日本はEUなどに比べると食品の表示義務がゆるく、気を付けていても知らず知らずのうちに遺伝子組み換え食品を口にしてしまうこともあります。そのため、日頃から100%遺伝子組み換え食品を避けるというのは難しいかもしれません。
しかし、ヴィーガン向けの大豆ミートをはじめ、豆腐や納豆に関しては、非遺伝子組み換え食品であることが多いです。そういう点では、ヴィーガンだからといって遺伝子組み換え食品をたくさん食べることにはならないでしょう。
安全性の高い食品を口にしたい場合は、日頃から食品表記をチェックすることが大切です。加工品に関しては表示義務がないため、気になる食品メーカーのホームページなどもぜひチェックしてみましょう。