ヴィーガンはビタミンDに要注意 その対策や改善方法を解説
菜食主義であるヴィーガンは、何かとビタミンが足りないのでは?と心配されます。しかし実際には野菜を中心に摂取しているため、ほとんどのビタミンはヴィーガン食でも足りるのです。
しかし、ビタミンのなかでもカルシウムの吸収をサポートする役割がある「ビタミンD」は、ヴィーガンの食材では足りないのでは、と懸念されています。今日はビタミンDの役割や重要性、そしてヴィーガンの食事との関係について紹介します。
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ビタミンDは体に欠かせない
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種であり、体には欠かせない栄養素です。ビタミンD はそれだけで体に作用することもありますが、代表的な作用はカルシウムの働きに関わることでしょう。
歯や骨を強くするとして有名なのがカルシウムです。しかしこのカルシウムは単体で作用するものではありません。ビタミンDを一緒に摂ることによりカルシウムのバランスが整い、骨の健康を保つことができるのです。またビタミンDは糖尿病やガンを予防したり、妊娠しやすい体づくりにも効果があるとされています。
欠乏すると骨折のリスクも
カルシウムとビタミンDの関係は深く、そのどちらかが不足すると骨がもろくなってしまいます。そのためビタミン D が不足すると、結果的にカルシウムもうまく体に吸収することができず、骨折や骨粗しょう症などのトラブルが起きてしまいます。
ある例では、サッカーをやっている子どもが骨折したので、親はカルシウムを与えようと牛乳の量を増やしました。しかしその1年後にはまた試合中に骨折をしてしまったのです。医者にその話をすると「牛乳にはカルシウムは多いものの、ビタミンDはあまり含まれていないので骨を丈夫にすることはできない」とのこと。ビタミンDがいかに大切な栄養かわかるエピソードです。
ヴィーガンはビタミンDが足りない?
ビタミン D が多く含まれている食べ物は「メカジキ・タラ・サーモン」といった魚介類が中心です。また「ヨーグルト」や「牛のレバー」などにも豊富に含まれています。
しかしこれらの食材はいずれもヴィーガンは食べることができません。そのためヴィーガンはビタミンDの栄養不足が懸念されているのです。
ヴィーガンでもキノコ類からビタミンDは摂れる!
ビタミンDが最も含まれる食材は 鮭やシラス、そして青魚が中心です。しかしその一方、ビタミン D はきのこ類にも豊富に含まれています。
キノコ類におけるビタミンDの含有量(食べやすい量)
乾燥キクラゲ 2g | 8.7マイクログラム |
干しシイタケ 3枚 | 1.2マイクログラム |
エリンギ 1本 | 0.5マイクログラム |
まいたけ 半パック | 1.5マイクログラム |
本しめじ 半パック | 2マイクログラム |
厚生労働省によると、大人1人が摂取すべきビタミン D の量は1日約5.5 マイクログラムです。これは食事にキノコを少しずつ添えることでクリアできる数値でしょう。とくにキクラゲとしめじ、干ししいたけには豊富なビタミンDが含まれているので、積極的にとっていきましょう。
ビタミンDは太陽の光もポイント
そしてビタミン D は紫外線を浴びると増えるという特徴があります。きくらげなどを食べて摂取したビタミン D は、紫外線を浴びることにより、体内で働く活性型のビタミンDに変えることができます。しかもこれは人の体に限ったことではなく、食材に関しても一緒です。
例えば干し椎茸にはビタミンDが豊富に含まれていますが、干す前の生椎茸にはビタミン Dがほとんど含まれていません。これは椎茸を太陽光に当て、乾燥させて栄養を凝縮させることにより、ビタミンDの含有量が20倍にも増えるのです。
太陽の光を浴びることで増えるビタミンというのはビタミン D 以外の他にはありません。ヴィーガンの場合、キノコ類からでしかビタミンDを摂ることができないので、太陽に当たるのが効果的です。日焼けをする必要はないものの、日中買い物や散歩などに出かけて、合計30分ほど日光浴することがおススメです。
ヴィーガンはサプリメントもおすすめ
基本的に多くのビタミンは、たくさんの野菜を食べることによりバランスよくとることができます。そのためヴィーガンがビタミン不足になるということはまずありません。
しかしビタミン Dはきのこ類からでしか取ることができません。そのためキノコが苦手な方や、きのこ料理をしなかった日は実質ビタミン Dを取る事が出来ないのです。
そのようなことを踏まえるとヴィーガンを実践している人はビタミンD が含まれたサプリメントを摂るのもおすすめです。ヴィーガンの人でも飲むことができるソイプロテインには、カルシウムとビタミン D の両方が含まれていることが多いです。骨がもろくなったと感じる人は、このようなプロテインを日頃から取り入れても良いでしょう。
ヴィーガンだけじゃない ビタミンD不足が起こる原因
このところビタミンD不足が原因で骨折し、そのまま寝たきりになってしまうといった症例が増えています。しかも、ビタミンDの不足はヴィーガンに限った話ではありません。ここからはなぜ骨折や骨粗しょう症といったビタミンD不足が増えているのか、その原因と対策について考えていきましょう。
美白意識が日光を遠ざける
ビタミン D が不足して骨折する例は、高齢者に限った話ではありません。実は20代から30代といった若い女性にも増えているのです。
その原因の1つに美白意識があるといわれています。紹介している通り、ビタミンDは紫外線を浴びることで生成されます。
しかし女性の間では長らく美白ブームが続いており、日焼けのない白い素肌が美しいとされています。そのため紫外線予防が徹底され、部屋の中でも帽子やマスクをし、絶対に日光を浴びないという女性もいます。
確かに紫外線は悪影響を及ぼすことも多いですが、365日全く紫外線を浴びないというのは危険です。骨を丈夫にするためにも、適度な日光浴を取り入れるようにしましょう。
加齢とともに吸収率は下がる
カルシウムやビタミンDの吸収率は、年齢が上がるにつれ下がってしまいます。骨粗しょう症や骨折などのトラブルが高齢者に多いのはこのためです。
特に骨粗鬆症は女性に大変多く、原因としてはホルモンバランスが背景にあります。女性は50歳前後に閉経を迎えますが、骨の新陳代謝に関わっている女性ホルモンの分泌量が急激に減り、骨密度も急激に減少してしまうのです。そのため、50歳を過ぎた女性は特に意識してビタミンDやカルシウムを摂る必要があります。
ウォーキングなど、骨に刺激を与えよう
ビタミンDが減ることで最も懸念される病気が骨粗しょう症です。それを予防するには3つのポイントがあります。
- カルシウムとビタミンDを意識して摂る
- 1日20~30分ほど、日光浴をする
- ウォーキングなど、骨に刺激を与える運動をする
実は骨は物理的な刺激が加わることにより、その強度が増すということが最近の研究結果によって分かってきました。
例えばウォーキングをすると、歩くたびにかかとの骨に刺激がかかり、結果的に骨密度が高まります。ランニングやウォーキングなどを運動に取り入れ、骨に刺激を与えるのも骨を丈夫にするポイントです。
まとめ
ヴィーガンは肉や魚を食べない分、確かに摂取できるビタミン D はやや少ないといえます。それでも食卓に意識してキノコ類を並べ、日頃から運動や日光浴を取り入れることにより、極端なビタミンD不足にはならないでしょう。
しかしヴィーガンに限らず、ホルモンバランスが崩れるゆらぎ世代の女性は、カルシウムとビタミンDが不足しがちになります。自分にあったサプリメントやプロテインなども取り入れ、丈夫な骨をキープしていきましょう。