大豆ミート国内シェアNO1!大豆で豚骨スープも作る「不二製油」とは
スーパーやネットなど、国内ではさまざまな大豆ミートが売られています。それが作られているのは各メーカーによるもの、と思われがちですが、実は大豆ミートそのものを作っている会社は違うのです。
実は国内における大豆ミートのおよそ半数を製造しているのが「不二製油」です。名前にある通り油脂メーカーでありながら、不二製油はいま注目の大豆ミートにおける最新技術を次々に開発しています。今日はこの不二製油株式会社について詳しく見ていきましょう。
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60年前から大豆ミートに注目した会社
不二製油はチョコレート用油脂で世界トップ3に入る油脂メーカーです。油脂の開発だけに力を入れても不思議のない企業ですが、大豆ミートの開発は実に60年も前から行われてきました。
開発を始めたのは2代目社長の西村政太郎氏です。当時は失敗ばかりで3千万円ものお金を無駄にしたという逸話もあります。大豆開発事業から手を引けと諭す人に対し、彼は「将来きっと人口爆発が起きて肉は足りなくなる。今はまだわからなくてもあなたの孫の時代がきたらきっと分かるだろう」と伝えたといいます。その予想は見事的中し、いまでは開発当初の10倍以上の大豆加工製品が取引されています。
油脂のマジシャン 特許数は3千件
不二製油はチョコレートをはじめとした油脂事業を多く展開しており、その技術を生かして大豆ミートにおける技術開発も展開してきました。たとえば「USS製法」というのは、世界初の大豆の分離分画技術のことであり、この技術のおかげでこれまではできなかった植物性由来の食品を生み出しています。その特許数は3千件にも及び「油脂のマジシャン」として世界から注目されています。
油脂メーカーだからできる美味しい大豆ミート
不二製油の大豆ミートが注目されているのは、特許数だけにとどまりません。それは「これまでにない美味しい植物性代替食品」を作る技術もあるからです。
例えばラーメンのスープといえば、鶏ガラや豚骨など、通常動物性食品による濃厚な脂がポイントです。しかし不二製油はその味を植物性油から分析し、いかに動物性油脂に近づけるか研究も行っています。まずは動物性食品の味を分析し、それを植物性油を使って実験研究を重ね、肉や濃厚なスープ、乳製品でさえも、植物性のみで作ることに成功しています。
ココがスゴイ!不二製油の技術開発
ここからは、実際に不二製油が開発した大豆ミートを中心に見ていきましょう。
ちなみに不二製油が代替品の商品開発として大きく名を残したのはティラミスです。90年代にブームが起きたティラミスは、原材料となるマスカルポーネチーズが高く、安く販売することができませんでした、
そこで不二製油が植物性の乳酸発酵素を開発し「マスカポーネ」というチーズの代替品を開発したのです。これによりティラミスは原価を抑えて販売でき、日本中にティラミスブームを巻き起こしました。あのときと同じように、不二製油が開発した商品は今後も大きな話題になる可能性を秘めています。
スーパーやコンビの大豆ミートの多くは不二製油
不二製油が手掛ける大豆ミートをはじめとした代替品は、実に多くの食品メーカーで販売されています。
不二製油が手掛ける大豆加工品の1例
- 生協の大豆ミートシリーズ
- ロッテリア 大豆ミートバーガー
- ファミリーマート 大豆ミートシリーズ
- スターバックス 豆乳ドリンク
例えばファミリーマートの大豆ミートだけを見ても、担々麵や大豆ミートナゲット、大豆ミートでできた肉まんなど、その種類は多岐にわたります。不二製油の大豆ミートはその商品によって脂を使い分け、開発する際には大豆の繊維をミクロレベルで分析するという徹底ぶり。どの商品も本物の肉と変わらない味とクオリティがあると評判です。
大豆でできた「ウニのベジ寿司」を展開
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190829/mcb1908291027025-n1.htm
不二製油では大豆ミートに限らず、「ヴィーガンシーフード」とも呼ばれる海鮮類の加工食品にも挑戦しています。その代表が「ウニのベジ寿司」です。
当然ながら、一般的なウニは海で採ったものを使います。しかし不二製油では植物油や豆乳クリームを使い、ウニの味に非常に近いウニペーストを世界で初めて独自開発しました。
このウニは寿司として販売されており、ホテルニューオータニの有名レストラン、サツキにてすでに販売されています。また本物のウニとウニペーストを使って濃厚に焼き上げた海鮮グラタンも、すでに多くのリピーターがつくほどの人気商品になっています。
一風堂の豚骨ラーメンを大豆で作る
https://www.ippudo.com/news/210201_plantbased_akamaru/
そしてグルメ業界で話題になっているのが「とんこつラーメンを植物由来のスープで作る」という挑戦です。
不二製油ではあの人気ラーメン店一風堂と協力し「ベジラーメンスープ」を開発しました。これは大豆から豚骨スープを作るという画期的な商品です。すでに一風堂の社長からも納得する出来栄えになっており、2021年2月に一部店舗で発売されています。ベジタリアンの人にも美味しいラーメンを食べてほしい、その考えから共同開発されました。
大阪の実店舗 アップグレードも大人気
不二製油の大豆ミートは、大阪大丸心斎橋店本館地下にある「アップグレード」というお店で楽しむことができます。ここでは肉・魚・卵・乳製品といった動物性素材食品をすべて不二製油が手がける植物性素材に置き換えた食材が売られています。
お惣菜としてテイクアウトするのはもちろん、ランチメニューを中心に店舗で食べることも可能です。油淋鶏風の唐揚げをはじめ、ひき肉がたっぷり詰まったように見えるラザニアも全て植物性。見た目と味のクオリティーに驚く人が続出している店舗です。
大豆でできた食パンを開発中
不二製油では、すべて大豆原料でできた食パンも開発しています。これまでも大豆を主原料としたパンはあるのですが、しっかりと膨らませるためには卵やスキムミルクなど、少量でも動物性食品を加える必要がありました。
そのため不二製油では動物性食品を一切加えない、豆乳や大豆粉を中心とした食パンの商品開発に取り組んでいます。これが成功したら、大豆のタンパク質がしっかりと摂れるパンとして世界的にも注目されます。また乳や卵のアレルギーに悩む人や、低糖質パンを求める人にとっても画期的な商品となるでしょう。
不二製油 これからの目標
https://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/2021/0204/
製油会社としても、大豆ミートの商品開発においても、すでに大成功をおさめているといえる不二製油。しかし3代目社長の清水洋史氏は、まだまだ現状に納得していません。
不二製油の最終目標は「肉よりも美味しい大豆ミートを作ること」であり、今後は近いうちに訪れる食糧難に対しさらなる人助けをしていきたいとのこと。大豆ミートが肉よりも美味しくなれば肉を求める人が減り、結果的に地球環境を改善することにもつながると考えています。プラントベースの豚骨ラーメンやベジ寿司など、画期的な商品を開発する不二製油。今後の活躍にも注目したいところです。
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