この子の未来のために!子育てにヴィーガンを取り入れる考えとは
ヴィーガンとは動物性のものをなるべく摂らない生活をすること。動物を愛護する観点から広まり、いまでは地球環境を守ることにもつながると注目されています。
世界中で広まりつつあるヴィーガンですが、最近ではそのヴィーガンの取り組みを子育てにも取り入れる人が増えています。しかしヴィーガンは基本的に肉や魚を食べることができません。そのような考えを本当に子育てに取り入れて良いのでしょうか。今日は子育てにおけるヴィーガンについて考えてみようと思います。
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子育てにヴィーガンを取り入れる人が増えている
ヴィーガンは菜食主義者とも呼ばれ、基本的には大人が実践するものだと考えられています。しかし近年、子育てにおいてもヴィーガンを実践する人が増えてきました。子育てにヴィーガンを取り入れると、次のようなメリットがあるといわれています。
- 動物を大切にすることを教えられる
- 地球環境を保護できる
- 争うことなく共存して生きていく方法を学ぶ
- 考え方の多様性が実践できる
人は生活するうえで、なんとなく他人との同調意識を持ちながら生活することが多いです。 そこにあえてヴィーガンという考えを取り入れることにより、自分は何を食べていきたいのか、これからの地球環境をどう支えて生きていくのかなど、さまざまなことを考えるきっかけにもなるでしょう。
アレルギーが発端で実践する人も多い
日本人の場合「子供にアレルギーがあって食べられる食材が限られているから」というきっかけで、ヴィーガン生活をはじめる人も多いです。
ある食物アレルギー有病率調査によると、日本の乳児にはおよそ10%に食物アレルギーがあり、幼児には5%、学童期以降は1~3%の割合で食物アレルギーの子供が存在するといわれています。
しかも、アレルギーで食べられない食材の多くは「卵・乳製品・青魚」といった食材です。これに肉を加えればヴィーガンが食べない食材と一致するため、アレルギーがきっかけでヴィーガンの生活を実践する親子も多いのです。
地球環境を守りたいから
そして子育てにおいてヴィーガンを取り入れる大きな理由は「地球環境に対する危機感」が挙げられます。
例えば、日本だけを例に挙げても、毎年発生する異常気象の事例は非常に増えています。特に夏の猛暑事例は多く、昭和の時代に比べると、夏の日数が50日も増えたというデータもあります。
地球環境を守るためにはこれまでも色々なことが実践されてきましたが、その結果はイマイチです。しかも研究が進むにつれ、温室効果ガス排出量を抑えるためには、家畜の数を減らすことが効果的といわれるようになりました。家畜の数を減らすということは、つまり人が肉食を辞めるということ。次世代を生きる子どものためにも、肉食をやめ、ヴィーガンの生活を実践した方が良いという人が増えています。
海外では肥満対策として取り入れる家庭が多い
欧米では子育てにヴィーガンを取り入れる家は日本よりも多いです。その大きな理由は「肥満対策」としてです。特にアメリカの場合、死亡原因の多くは肥満と糖尿病の増加が原因であるとされています。成人の2人に1人が肥満であるアメリカでは「自分のように太ってほしくない」との理由から、子育てにヴィーガンを取り入れ、子供の体形に気を配っている家庭も多いのです。
こうした意味では、欧米の場合ヴィーガンをダイエットとして実践しているともいえるでしょう。親子でヴィーガンの食事を実践し、健康体になったら元の生活に戻すというサイクルをしている家庭もあります。
子育てにヴィーガンを取り入れる注意点
実践することで色々なことが学べるヴィーガンですが、子育てにおいては注意しなくてはならないこともあります。特に日本ではまだヴィーガンの考えは浸透しているとは言い切れず、子供に肉や魚を食べさせない生活は、虐待だと思われてしまうこともあるでしょう。ここからは、子育てにおけるヴィーガンの注意点について見ていきましょう。
集団生活では臨機応変に
「我が家では、地球環境や動物を守るために、肉や魚は食べないようにしている」そのような考えを持つ人もいるかもしれません。しかし子供が集団生活に入ると、全て家庭の考え通りに物事が進むことはありません。その代表的な例が給食です。
日本の給食は世界から見ても非常に栄養が長けており、子供にとってバランスの良い食事として有名です。なのにヴィーガンの生活を通したいからといって、子供に肉や魚の給食メニューを食べさせないのは無理があります。
そこでおすすめなのは「家庭では肉や魚を食べないが、給食では出されたものを食べるようにする」といった考えです。このように臨機応変な態度で望まないと、ヴィーガンを親子で実践するのは難しいでしょう。
子供の意見を尊重させる
ヴィーガンを子育てにも実践したい場合、子供の意見も取り入れることが大切です。海外ではヴィーガンを実践している子どもの間でいろいろなトラブルが生じています。
ある事例では、親が厳格なヴィーガンのため、子どもも一切の動物性食品を食べることができませんでした。そのため友達の誕生日パーティーに呼ばれても動物性食材をすべて拒否し、周りの友達から批判され、いじめられてしまったのです。
これは少々極端な例かもしれませんが、親の考えを押し付けることはヴィーガンに限らず良くありません。「お母さんはこういう考えでこれを食べないけど、あなたは好きなようにして良いんだよ」といった姿勢で取り組むことが大切です。
子供に肉や魚を与えないのはリスクも
日本の場合、子育てにおいて厳密な法律はないものの、厚生労働省における食育に関する指針では「子供の食事にはバランスの良い栄養を与えることが望ましい」とされています。つまりヴィーガンだからといって、肉や魚を子供に与えないことは、成長するうえでリスクがあるのです。
しかし、なかには「昔の日本人は肉は食べていなかった」「欧米では肉や魚を子供に与えない子育てもある」といった意見もあります。
ただ、肉を全く食べていなかった昔の日本人男性の平均身長は160cm。これは肉に含まれるビタミンDやアラキドン酸が取れていないため、身長がそれほど伸びないと考えられています。また、欧米人の場合、遺伝的な要因で体が成長するケースも多く、日本人とは体質的に違うのです。こうしたことから、やはり成長期を迎える子供の場合、アレルギーなどで問題がある以外は、バランスの良い食生活を摂ることが重要です。
子育てには楽しくヴィーガンを取り入れよう
地球環境にやさしく、動物を愛護する観点からもヴィーガンを実践することは大切です。しかし子供にも無理やりヴィーガンを実践させてしまうことは少々無理があるでしょう。そこでポイントとなるのは次の3つです。
- 地球環境や動物愛護について子供と話すことは大切
- 給食など、集団生活では無理をさせない
- 子供がどうしたいのか意思を尊重する
子供の食生活を制限させてまで行うヴィーガンには注意が必要です。ただ、自分の将来のために、大人になったときどのような食生活を送るべきか、子供と話しておくのは大切でしょう。
ちなみにヴィーガンは食生活だけでなく、動物の毛皮や革を使わない「ヴィーガンファッション」を取り入れることもできます。どうすれば地球環境や動物達への負荷を減らすことができるのか、いろいろな観点から親子で話合ってみるのも良さそうです。