ヴィーガンはタンパク質不足になる?不足させない効果的な取り方とは
肉や魚を食べないヴィーガンは「タンパク質不足になりやすい」ともいわれています。しかし、実際にヴィーガンを実践している人のなかには、タンパク質不足を感じない人もいるようです。果たしてヴィーガンは、その食生活が原因で本当にタンパク質不足になってしまうのでしょうか。今日はヴィーガンの食事とタンパク質の関係について詳しく見ていきます。
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ヴィーガンがタンパク質不足になるという原因は?
人の体に不可欠な栄養素、タンパク質。もし体にタンパク質が不足すると、筋肉を作ることができず、衰えた体になってしまいます。また、タンパク質の低下は体の機能も低下させ、病気を引き起こしやすくなるのです。
そんな重大なタンパク質、含有量が多い食材は次の5つです。
- 肉
- 魚
- 卵
- 大豆
- 乳製品
しかしヴィーガンの場合は、4の大豆以外摂ることができません。ヴィーガンはタンパク質不足なるのでは?といわれる由縁はここにあります。
1日の必要タンパク質量は体重数値をgに換算
人が1日に摂るべきタンパク質の量は、体重の数値をグラムに換算すれば良いと言われています。つまり45 kg の人であれば45g のタンパク質、60 kg の人なら1日60 g のタンパク質を目安にすると良いでしょう。
しかしタンパク質は、食材の中に含まれてはいるものの、豊富に含まれている肉を100g食べても100gのタンパク質が摂れるわけではありません。タンパク質が豊富な牛肉でさえ、100g中に含まれる含有量はおよそ20gです。
こうしたことから大豆や野菜といった食材しか食べられないヴィーガンは、さらにタンパク質不足に陥るのではと懸念されるのです。
ヴィーガンでもタンパク質は摂れる
しかし、筋肉ムキムキの体にしたいといったことがない限り、ヴィーガン食でも基本的なタンパク質は摂ることができます。肉や魚を食べることができないのに、なぜヴィーガンでもタンパク質を摂ることができるのか?ここからは、その理由を見ていきましょう。
大豆を中心にタンパク質は摂ることができる
ヴィーガンはタンパク質が大量に摂取できる動物性食品をとることはできません。しかし植物性の中でもタンパク質が豊富に含まれている大豆は取ることができます。
乾燥大豆100gに含まれるタンパク質 33.8g |
先ほど紹介したように、牛肉100gに含まれるタンパク質はおよそ20g、牛乳100gでは3.3gしか含まれません。畑の肉とも呼ばれる大豆は、肉や魚に負けないタンパク質の含有量があるのです。
しかも、大豆といえば納豆や豆腐、お味噌汁など、多くの料理で使うことができます。またヴィーガンになると肉の変わりとなる「ソイミート」を口にすることも多いでしょう。こうして豆類を食べる機会が増えるため、ヴィーガンを実践したあとの方が、肉食よりもタンパク質を摂る機会が増えるケースもあるのです。
ヴィーガンだからこそ必須アミノ酸は豊富
タンパク質は体に取り込まれた後、消化器官で分解され、消化されたうえで「アミノ酸」となります。また、人体を構成する細胞となったタンパク質は、再びアミノ酸に分解されて体のサポート役になります。
つまり、タンパク質が活躍するにはアミノ酸が欠かせません。いくら肉や魚などをたくさん食べてタンパク質を取り入れても、体にアミノ酸が足りなければ健康に役立てることはできないのです。
アミノ酸は20種類あるとされ、そのうちの9種類は体内で作ることができず、食事で摂る必要があります。その9種類のアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれており「フルーツや野菜」に多く含まれています。
必須アミノ酸を多く含む食材 にんじん キャベツ かぼちゃ さつまいも ナス トウモロコシ オクラ トマト ナッツ類 ゴマ バナナ ブロッコリー キュウリ ピーナッツ じゃがいも など |
これらの食材はヴィーガンの主要な食材ともいえるでしょう。一般的な食事では肉や魚がメインとなり、これらを食べる機会は減るかもしれません。こうしたことから、ヴィーガンだからこそ必須アミノ酸が含まれる食材を意識して食べることができ、結果的にタンパクをしっかりと摂ることができるのです。
そもそも1日に必要なタンパク質は23g!?
先ほどは人が1日に必要なたんぱく量を、その人の体重数値をグラム化すれば良いと紹介しました。体重が50キロなら、1日50gのタンパク質を目安にするというものです。
しかし、 人間が1日に消費するタンパク質は23g程度だといわれています。そのため毎日体重の数値と同じグラム数のタンパク質を摂る必要はないのです。
しかも、人の体は使われたタンパク質のおよそ70%を、アミノ酸のおかげで体内で再利用できるといわれています。これにより1日に摂るべきタンパク質は、消費したタンパク質の23g程度で良いという意見も多いのです。そう聞くと、特に肉や魚を食べなくても、大豆や穀物などの主食だけで十分タンパク質は摂れるといえるでしょう。
タンパク質不足を防ぐためには
しかし、実際にヴィーガンを体験した人のなかには「筋肉量が落ちてしまった」「体力が減った」など、タンパク質不足が起きたと考えられる症例が聞こえます。 これは、ヴィーガンの食事によりタンパク質不足になってしまったことが考えられます。ここからは、タンパク質不足にならないためのヴィーガン食事方法を見ていきましょう。
大豆、ナッツ類、穀物をバランスよく食べる
タンパク質が豊富なヴィーガン食材として大豆を紹介しましたが、実は大豆以外にもタンパク質が豊富な食材はたくさんあります。それは「シード類」「ナッツ類」「豆類」「穀物」です。
ヴィーガン食でタンパク質が豊富なもの | 食べ物 |
シード類(たね類) | かぼちゃの種など |
ナッツ類 | ピーナッツ、クルミ、カカオなど |
豆類 | 豆腐、納豆、高野豆腐など |
穀物 | オートミール 雑穀米など |
豆やシード、ナッツや穀物などをバランスよく食べると、それぞれにある必須アミノ酸を補うことができて、タンパク質をしっかりと摂ることにもつながります。「タンパク質なら豆腐だけを食べればよい」というのではなく、様々な食品群からそれぞれのタンパク質を摂取することが大切なのです。
体づくりをしている人はプロテインを
ヴィーガンを実践している人のなかには、痩せつつも筋肉質な体を手に入れたい、と考える人もいます。実際、ボディービルダーや筋力トレーナーのなかにもヴィーガンの人は存在し、健康的な食事と健康的な体を作っている人もいるのです。
ただ、引き締まった筋肉質の体にはより多くのタンパク質が必要であり、ヴィーガン食だけでは足りないこともあるでしょう。
そのような場合は「ソイプロテイン」を摂ることがおススメです。プロテインのなかにはヴィーガンへ向けた商品も数多く存在しており、エンドウ豆などの成分で作られたプロテインが人気となっています。
生野菜や果物をしっかりと食べる
米やうどんといった主食は加熱することが当たり前ですが、野菜を食べる際には生野菜や果物を意識して食べることも大切です。
加熱調理は体を冷やさないといったメリットはあるものの、加熱することでアミノ酸や食物繊維、酵素は破壊されてしまいます。野菜に含まれるアミノ酸は生野菜で摂れることが多く、体内でタンパク質を合成するサポートをしてくれます。つまり積極的に生野菜を食べないと、せっかく摂取したタンパク質をうまく体に取り込めないのです。最低でも1日のうち1食は、生野菜や果物を意識して摂るようにしましょう。
まとめ ヴィーガンがタンパク質不足になってしまう原因とは
基本的にヴィーガンでも、バランスの良い食事を取っていればタンパク質不足になることはありません。それでもタンパク質不足になってしまう人は次のようなことが考えられます。
- 大豆にこだわるなど、ナッツ類や穀物、野菜などのバランスが悪い
- 激しい筋トレをするなど、慢性的なタンパク質不足が原因
- アミノ酸の素となる生野菜や果物を食べていない
動物性食品を食べないヴィーガンはタンパク質不足が懸念されますが、上記のことを注意すれば基本的にタンパク質不足に陥ることはありません。正しい知識と行動で、健康的なヴィーガン生活を送っていきましょう。
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