ヴィーガンは骨粗しょう症になる?牛乳を飲めないヴィーガンと骨の関係
骨粗鬆症は、日本だけで予備軍も含めると1000万人以上いるとされています。つまり、国民の10人に1人が骨粗鬆症による骨折のリスクがあるのです。そこで国は「牛乳を飲みましょう」「小魚を食べましょう」といった働きかけをしています 。
しかし植物性食品だけを食べるヴィーガンは、牛乳も小魚も食べることができません。これだけを聞くと、ヴィーガンはカルシウムが足りず骨粗鬆症になりやすいイメージがありますが、果たして本当でしょうか。今日は ヴィーガンと骨粗鬆症の関係や、骨を丈夫にする方法などについて見ていきましょう。
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骨粗しょう症になる人が増えている
骨粗しょう症は、もはや国民病といってよいほど、かかりやすい病気になっています。その多くが女性であり、40歳代から増加し始め、高齢者になると7割もの女性が骨粗しょう症だと言われています。つまりヴィーガンに限らず、骨粗しょう症は年齢を重ねた女性に起きやすいものなのです。
なぜ女性に多いのか
骨粗鬆症を予防する鍵となるのはカルシウムです。カルシウムは骨にあります。そして女性ホルモンのエストロゲンには、カルシウムを骨に定着させる働きと、骨が溶けないよう防ぐ役割があります。しかし40代を過ぎ女性ホルモンが急激に激減すると、それらの働きがなくなってしまい、骨からカルシウムが奪われてしまうのです。
こうしたことから中高年以降の女性の骨粗しょう症は、自然な現象とも言えます。しかし放置しておくと骨折の原因になるため、意図的にカルシウムを摂取する必要があります。
骨折するまで気が付かない恐怖
骨粗鬆症の厄介なところは骨に異常をきたすまで気づかないという点です。通常、ガンや糖尿病といった内臓疾患の場合、なんだか気分が悪くなったり、腹痛やむくみなど、体になんらかの変化が起きて気づいたりすることも多いです 。
しかし骨粗鬆症に早めに気づくには、骨密度の測定しかありません。骨がもろくなっていても日常生活なら通常通り送ることができるため、自分が骨粗鬆症であることに気づかないのです。
そして高齢者の女性の場合、自分が骨粗しょう症だとは気づかないまま過ごしてしまうことが多いです。転んだひょうしに大腿骨といった箇所を折ってしまうこともあり、その後は寝たきりになるケースも増えています。
ヴィーガンは骨がもろくなるのか
カルシウムは牛乳や小魚からたくさん取れるというイメージがあります 。これらのいずれも取ることができないヴィーガン骨粗しょう症になりやすいとも言えるでしょう 。
しかし明確なデータはないものの、ヴィーガンだからといって骨粗しょう症になりやすいということはありません。それどころか、肉や乳製品を食べない菜食主義の人の方が、骨が丈夫であるといったデータもあるのです。
菜食主義者の方が骨が丈夫というデータも
肉をたくさん食べる人と、植物性食品を中心と食べる人では、植物性食品をたくさん食べる人の方が骨密度が高い、というデータもあります。その理由は次のようなものです。
- 動物性タンパク質を多く摂取するとカルシウムが排泄されてしまう
- 肉をたくさん食べることにより腸内環境が乱れカルシウムをうまく吸収できない
- カルシウムの吸収をサポートするビタミンDが足りない
肉ばかり食べる人すべてがカルシウム不足というわけではないものの、牛乳を飲んでいるからといって必ずしもカルシウムが足りているわけではありません 。
そもそもカルシウムは体に吸収しにくいという厄介な性質があります 。そのためカルシウムが豊富に含まれているという牛乳でも、飲んでも実際には50%のカルシウムしか体には吸収されていません。実はカルシウムを吸収するためには、カルシウムの働きをサポートしてくれるビタミンDを摂ることが大切であり、そのためには積極的に野菜やキノコ類を食べた方が良いのです。
ちなみに、ヴィーガンとビタミンDの関係についてはこちらの記事をどうぞ!
ヴィーガンで骨を強くする食品とは
骨を丈夫にするには、カルシウムの栄養吸収をサポートしてくれるビタミンDも一緒に摂ることが大切です。ヴィーガンにおけるカルシウムを含む食材とビタミンDを含む食材は次のようになります。
カルシウムを多く含む食材 | 納豆 豆腐、小松菜、チンゲン菜、切り干し大根、ひじき など |
ビタミンDを多く含む食材 | 赤ピーマン、サツマイモ、オレンジ、干しきくらげや干しシイタケ、など |
カルシウム多く含む食材として大豆食品があります。そして大豆にはイソフラボンが含まれており、このイソフラボンは女性ホルモンをサポートする栄養として有名です。
更年期における女性はホルモンバランスが崩れるため、それによって骨密度が低下することが多いです。そのため意識して大豆食品を摂り、イソフラボンとカルシウムを同時に摂取することが大切です。
ビタミンKの存在も鍵
骨を丈夫にするには、ビタミンKの存在も欠かせません。ビタミンKはカルシウムと共に骨を強くする効果があります。
ビタミンKが豊富な食材…納豆・緑黄色野菜・海藻類 |
これらの食材は、いずれもヴィーガンでも食べることができます。また、この食材にはビタミン Dも豊富です。肉食中心だと「お腹いっぱいだし納豆はいいや」となりがちでしょう。しかし、大豆や野菜を中心に食べるヴィーガンなら、普段からビタミンDとKをしっかりと摂ることができるため、ヴィーガンだからといって骨粗しょう症になりやすいということはないのです。
まだある 骨粗しょう症を防ぐ方法
これまでのことをまとめると、ビーガンだからといって骨粗しょう症になりやすいということはありません。ただ女性の場合、更年期を迎えた後は、食生活に限らずどうしても骨粗しょう症になりやすいのです。ここからは、食生活以外にも骨粗しょう症を防ぐ方法について見ていきましょう。
日光を浴びよう
骨を丈夫にするには太陽の光も欠かせません。まずは「太陽の光を浴びて体内のビタミンDを育成する」ということが大切です。
ビタミンDは、ビタミンのなかで唯一太陽光によって体内で生成されます。過度な日焼けをする必要はないものの、1日20分程度太陽の光を浴びることにより、カルシウムの吸収をサポートするビタミンDがアップするのです。
また「しいたけは食べる前に天日干しする」というのももおススメです。しいたけは食材の中でもビタミン D を豊富に含んでいますが、それは太陽を浴びることによって生成されるからです。干し椎茸はビタミン D が多いと言われていますが、実は干し椎茸の多くは工場で干されているため、それほどビタミン D がないという意見もあります。干し椎茸も生の椎茸も、ビタミンDを取りたい場合は天日干ししてから食べるのが良いです。
運動を取り入れる
骨は刺激を与えるとに丈夫になるという研究結果があります。例えばウォーキングをすると、歩くたびにかかとの骨に刺激がかかり、結果的に骨密度が高まるのです。まずは歩くことが大切、というのは、骨密度を高める意味もあるのです。
また、これを参考に「かかと落とし運動」が推奨され、多くの老人ホームなどで行われています。かかと落とし運動は家でも簡単にできるため、骨密度を高める運動としてピッタリです。
かかと落としの方法は、姿勢をよくして真上に伸び上がるようにつま先立ちになり、ドスンと一気にかかとを床に落とすだけ。 ポイントは、ひざを伸ばしたとき、かかとから頭まで一直線にすること。 目標回数は、10回を1セットとして朝昼晩に行うとよいでしょう。
コロナ禍でなかなか家から出られないときも、このような運動なら家でも手軽に取り入れられるので、積極的に行っていきましょう。
まとめ
骨粗鬆症は、ビーガンだからといって余計にリスクが高いというわけではありません。ただ、年齢を重ねた女性はどうしても骨がもろくなるため、意識してカルシウムやビタミンを摂る必要があります。
簡単に骨粗しょう症を予防したいのなら、カルシウムを含むサプリメントの導入もおすすめです。そして、大豆食品はカルシウムも豊富なうえに女性ホルモンをサポートしてくれます。骨密度が気になりだしたら、大豆を積極的に摂り、日光の下で運動を取り入れるなどして、元気な体づくりを行っていきましょう。
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