ヴィーガンとマクロビオティックは何が違う?両者の特徴やメリットを解説
ヴィーガンが徐々に認識されるようになってから「マクロビオティック」という言葉も見聞きするようになりました。特に菜食主義に興味がない人でも、ヘルシーなお菓子に「マクロビ」といった表示を見たことはないでしょうか。
ヴィーガンもマクロビオティックも、なんとなく体に良い食事というイメージがあるでしょう。しかし、両者にどのような違いがあるのかは分かりにくいです。今日は、ヴィーガンとマクロビオティックの違い、その特徴などについて紹介します。
Contents
マクロビオティックとは
マクロビオティックとは、簡単に言うと玄米を中心に食事をとる菜食主義者のことです。マクロビオティックは未精製穀類の摂取を重視し、豆類や根菜類、海藻類などの植物性食品を中心に食べます。ヴィーガンと似ていますが、魚介類を食べるマクロビオティックの人も多いです。
また、マクロビオティックは玄米と菜食を中心とした自然食です。そして素材は可能な限りオーガニック食材や、低農薬で作られたものを選びます。
マクロビオティックは日本人が考案したもの
マクロビオティックは、名前からしてなんとなく西洋から入ってきた食文化というイメージがあるかもしれません。しかしマクロビオティックを考案したのは日本人です。19世紀後半に医師である石塚左玄(いしづかさげん)によって作られた食事療法がもとになっています。
その後石塚の考えを受け継いた桜沢如一(さくらざわゆきかず)がフランスで活動し、玄米生食はその後「マクロビオティック」という名前で欧米で浸透しました。ちなみに桜沢は欧米でジョージ・オオサワと呼ばれ、マクロビオティック文化を広めた人物として有名です。
陰陽論があるのも特徴
マクロビオティックには東洋思想の伝統的な考えである「陰陽論(いんようろん)」があります。陰陽論は、世界のあらゆるものには陰と陽のバランスがある、という考えです。ざっくり解釈すると、陽は中心に向かって縮んでいくエネルギー、陰は周辺へ散らばっていくエネルギーです。
それは食べ物にもあると考えられ、陽性の食べ物は身体を温め、陰性の食べ物は身体を冷やすと考えられています。これにより、冬場は体を温める陽性の食べ物を、夏場は陰性の食べ物をすすめられます。つまり、マクロビオティックは旬の食材を取り入れることも大切にしており、調理方法に関しても陰陽論が取り入れられることが多いです。
マクロビオティックとヴィーガンの違い
ここまで簡単にマクロビオティックについて説明してきました。こう見ると、魚を食べる以外にはそれほどヴィーガンとの違いはないように見えます。ここからは、さらにヴィーガンとマクロビオティックの違いや共通点などについて見ていきましょう。
肉や乳製品、白砂糖などを避けるのは一緒
マクロビオティックもヴィーガンも「肉や乳製品、白砂糖などは控える」という共通点があります。ただ、なぜそのような食品を避けるべきなのか、両者には考えの違いがあります。
肉や乳製品などを避ける理由
ヴィーガン | 動物愛護の観点から。また、動物性食品は地球環境を破壊するので、環境を守るためにも食べるべきではない |
マクロビオティック | バランスの良い食生活を推奨するため。体のことを考えたら、肉や乳製品は控えた方が良い |
そもそもマクロビオティックは地球環境や動物を愛護する観点から発祥されたものではありません。玄米や穀物を中心に食べることにより、より健康な体にするということが目的です。ただ、旬のものや地産地消の食べ物を推奨する考えは、結果的に輸入や加工にかかるコストを抑えられ、環境の負荷も減っているといえます。ヴィーガンもマクロビオティックも、実践することで環境保全につながるといえるでしょう。
マクロビオティックは禁止がない
マクロビオティックは肉や乳製品白砂糖などは避けるべきと言っていますが、あくまで禁止はされていません。つまりどうしても肉や魚が食べたいといった時は、自由に食べても良いのです。
マクロビオティックの場合、健康的な食事を目的としているため「動物性食材よりかは植物性食品を食べた方が良い 」と推奨するスタンスです。そのため、動物性食品の中でもカルシウムや DHA がとれる青魚や小魚は積極的に食べた方が良い、という指導もあります。
その反面、ヴィーガンは動物愛護の観点から動物性食品の摂取を禁止しています。そのため、 週末だけ肉を控えるといったゆるいヴィーガンの場合、実はマクロビオティックを実践しているともいえそうです。
マクロビは哲学的思想を学べることも
マクロビオティックを極めたいと考える場合、食事内容より、その思想について学ぶ必要があります。元々マクロビオティックは日本の食事療法と、中国の陰陽論を元に考え出されました。
そのため、万物は陰陽からなるという考えの無双原理や、仏教とヨガを取り入れた方法、宇宙論哲学を取り入れながら実践する方法など、数多くの思想も生み出されています。こう聞くとやや難しそうに見えますが、マクロビオティックを通じて人の食文化の歴史や栄養学を学ぶぶこともできます。食育や栄養学に興味がある人なら、マクロビオティックは向いているかもしれません。
マクロビオティックの注意点
ヴィーガンもマクロビオティックも、実践することで健康的になれるといった意見は多いです。ただ、マクロビオティックはあまりにも急にストイックに行うと、次のようなデメリットが生じることもあります。
ガンを治すなど過剰な意見も
マクロビオティックが欧米で浸透したのは、桜沢如一が自らマクロビオティックを実践し、結核と胃潰瘍を治した実績があるからです。「健康的な食生活を送れば自らの病気も治すことができる」そう提唱した意見はインパクトを与え、マクロビオティックをすればガンすら治せると思う人も少なくありませんでした。
いまはマクロビオティックだけで病気は治せないと認識している人が多いですが、なかには「ガンが治る」といった過剰な意見を伝えている団体もあります。マクロビオティックを実践したからといって、絶対に病気が治るといった考えは危険です。
生野菜を食べないリスク
マクロビオティックの指導方法はさまざまあり、なかには体を冷やすとして「生野菜を食べてはいけない」というやり方もあります。
しかし生野菜を食べないと食物酵素を摂ることができず、体の新陳代謝促進が悪くなるといったデータもあります。また、生野菜は食事の最初に食べることで野菜の食物繊維が胃腸内に広がり、たんぱく質や炭水化物の脂質や糖の吸収を抑えることができます。野菜はすべて生で食べろとはいいませんが、バランスの良い食生活のためには、生野菜を取り入れることも大切です。
まとめ
ヴィーガンもマクロビオティックも、どちらも体に良く、結果的に地球環境に貢献できることが分かりました。もともと日本で発祥したマクロビオティックは、日本人には馴染みの深い和食を中心に食べることができるので取り組みやすいといえます。
両者にはさほど大きな違いはないのですが、ヴィーガンの方が禁止事項は多く、マクロビオティックのほうが思想的な考えは強いともいえます。どちらが自分に合っているかを考え、日頃の食生活に気軽に取り入れて行けると良いですね。
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