日本のヴィーガンメニューを発信!群馬ヴィーガン・プロジェクトとは
日本ではまだ実践者の少ないヴィーガンですが、訪日客が増えるにつれその必要性は高まっています。それに着目し、いち早く行動を起こしたのが群馬県です。
群馬県はこんにゃくをはじめ、キャベツやキュウリの生産量も全国で1~2位を争っています。そんな多品目の食材をPRすべく、ロサンゼルスで「群馬ヴィーガン・プロジェクト」のイベントが開催されました。
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2020年2月にロサンゼルスで開催されたイベント
https://usfl.com/mimiyori/news/
2020年2月26日(水)に「群馬ヴィーガン・プロジェクト」のイベントが開催されました。正直なところ、このイベントの知名度は日本ではそれほど高くありません。その理由の1つとして、開催されたのが日本ではなく、アメリカのロサンゼルスであったことがあります。
開催場所は「ジャパン・ハウス ロサンゼルス」。ここは日本文化の発信拠点としてさまざまなブームを生み出し、また日米交流による人材育成の場としても活躍しています。
群馬はこんにゃくの聖地!
ヴィーガンが食べられる食材といえば野菜や豆が中心です。しかし、そこに風穴を開けようと群馬県が思いついたのが「こんにゃく」です。こんにゃくは「いも及びでん粉類」に分類されている加工食品。加工食品といっても動物性食品は一切含まれていないので、ヴィーガンでも安心して食べることができます。そんなこんにゃくは、次のような代用食品があり、うれしい効能効果もあります。
こんにゃくの加工例 | こんにゃくの効果 |
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カロリーはゼロなのに、こんなにも効能効果や代替メニューが豊富なこんにゃく。海外でヴィーガンを実践している人の中には糖尿病や肥満に悩んでいる人も多いので、こんにゃくをヴィーガンメニューに取り入れれば大きなメリットも得られそうです。
群馬を代表する4社が参加
今回ヴィーガンプロジェクトに参加した企業は次の4つです。
OKM…おからパウダー、グルテンフリー麺等を製造している会社
グリーンリーフ…オーガニックこんにゃく製品を製造
プレマ…オーガニック小松菜、オーガニック小松菜パウダーの製造企業
北毛久呂保…こんにゃく製造会社、ユニークなアレンジも展開
オーガニックのこまつなやこんにゃく、おからパウダーなどはヴィーガンメニューにピッタリの食材です。しかも、どれも日本を代表する食品であり、海外ではあまり馴染みがありません。だからこそ新しい食感や栄養素に目をつけてもらい、ヴィーガンメニューとして多く活用してほしいと各企業が参加しました。
群馬ヴィーガン・プロジェクトで出されたメニューとは?
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上記の写真は実際にプロジェクトで出されたメニューです。一見すると、ミートソースパスタやとんこつ風ラーメンなど、ボリュームたっぷりな麺類などもあります。これらがすべて動物性食品が含まれていないヴィーガンメニューとは、驚きです。
料理のプロフェッショナルが作ったヴィーガンメニュー
今回提供されたヴィーガンメニューはいずれもプロの料理人が作ったものです 。群馬県のホテルで結婚式などの総料理長も務める荒井一樹さん、そして長年ヴィーガンメニューを研究し、それをレストランでも提供しているKajsa Algerさんが特別協力しました。
素人が作るヴィーガンメニューは、どうしても野菜だけのものや、豆腐メインのものなど、シンプルになりがちです。しかし今回提供されたメニューは非常に色どりも良く、様々なメニューを組み合わせ、見た目や栄養バランスも考えられています。
小松菜パウダーに注目
今回のメニューではこんにゃくをはじめ、さまざまな素材で作られたヴィーガンメニューに注目が集まりました。
なかでも海外の人が注目したのが「小松菜パウダー」です。小松菜パウダーは新鮮な群馬県産の小松菜を乾燥させ、粉末状にさせたものです。生の小松菜の栄養が凝縮されており、低カロリーながらその栄養価は天然のマルチサプリと呼ばれるほど高いです。
ちなみに小松菜はアジア圏特有の野菜であり、欧米ではあまり知られていません。しかしヴィーガンでは摂りにい鉄分やカルシウムが豊富に含まれています。特に小松菜は野菜の中でも非ヘム鉄を多く含む食材であり、ビタミン C を含む果物などと一緒に食べると、効率よく鉄分を摂取することができます。今回のプロジェクトではこうした小松菜のメリットをしっかりと PR できました。
東京オリンピックでもヴィーガンに注目
今回の群馬ヴィーガンプロジェクトは、もともとインバウンドの受け入れを目的に立ち上げられたものです。しかし、2021年に開催予定されている東京オリンピックのメニューにも関りがないとはいえません。
新型コロナウィルスの影響もあり、オリンピックは開催自体が危ぶまれているほか、観客を受け入れるべきかどうか議論されています。しかし、仮にコロナが治まり、外国から多くの訪日客が訪れた場合、日本で提供されるメニューをそのまま食べられる人はそれほど多くないのです。
欧米の若者は4人に1人がヴィーガンという情報も
スウェーデンの環境活動家、若干17歳のグレタ・トゥーンベリさんを知らない人はまずいないでしょう。日本でも大きな影響を与えた彼女の活動は、特に欧米の若者に多大なる影響を与えました。
彼女は地球環境を考慮したうえ、厳格なるヴィーガンを実践しています。彼女の考えに賛同する若者はイギリスを中心に増えており、イギリス人20代の4人に1人は ヴィーガンを実践しているといわれているのです。
もし無事に東京オリンピックが開催されたら、日本にもたくさんのヴィーガンが訪れる予定です。しかし今都内におけるレストランの多くは、ヴィーガンメニューがありません。日本における飲食店にも早急な対応が求められるなか、今回の群馬ヴィーガンプロジェクトの活動はとても意義があるものとして注目されました。
今後も同プロジェクトの発展に期待
新型コロナウイルスの影響もあり、いまではジャパン・ハウス ロサンゼルスにおけるヴィーガンイベントの今後における開催予定はありません。
しかし先進国の中では非常にヴィーガン対応の遅れている日本。このまま通常のオリンピックが開催されると、ヴィーガンメニューを求める訪日客の要望には答えられないことが予想されます。
そうならないためにも、今後も群馬ヴィーガンプロジェクトのようなベジタリアン料理の普及活動が求められます。地球環境を考えたうえで、ヴィーガンでもそうでない人も、一緒に菜食主義について考えていきましょう。